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26話 お別れ ページ32

まだ静かな町に、二人の足音が響く



「え、Aちゃんこっから出てくのか!?

  それゃ寂しくなるなぁ」

『すみません、当日の朝にお伝えすることになってしまって

  たまに顔を出すこともあると思うので、そのときはまたよろしくお願いしますね』

「おう、いつでもよってくれ!沢山おまけしてあげような!」



そう言ってニカッと笑ってくれる松さん


あぁ、温かい

この人はウボォータイプの人だ


では、またいつか...と挨拶をしてその場を去る



「えぇ!?そうなのAちゃん!?

  もう、早く言ってくれれば何か準備したのに〜」

『...ごめんなさい』

「やだ!謝って欲しいわけじゃないのよ!

  ほら、貴方が笑ってなくてどうするの?心配したくなるから笑いなさい!」



むにゅ、と頬を摘ままれる

いひゃいれふ、と抗議するも意味はなかった

ふと茂菜さんの手が緩む



『茂菜さん...』

「きっと大丈夫よね

  Aちゃんは良い子だから、何処に行ってもやってけるわ」



茂菜さんは悲しそうで、まるで自分に言い聞かせているみたいだった


私のためにこんな顔をしてくれる人がいる

なんだか、私まで泣いてしまいそうだ


茂菜さんは、道中で食べなさいと言っていつものお饅頭をくれた

お礼を言ってまた早足にその場を離れる


最後はあの子の家だ




「お姉ちゃんいなくなるのやだぁ!

  行くのやぁーー!!!」

『は、花華ちゃん...』



私と義勇さんは最後に花華ちゃんの家に寄ったのだが

すがり付いて泣かれている

後ろにいるお母さんが必死に泣き止ませようとしてくれるものの、泣き止む気配がない



『花華ちゃん、花華ちゃん聞いて?

  何も、一生の別れじゃないんだよ?また会えるから』

「...また、会える?」

『うん、約束

  花華ちゃんが毎日頑張ってお母さんのお手伝いをしたら、また会いに来る』



小指を出して、笑いかける

花華ちゃんもおずおずと小指を出してくれた



『「ゆびきりげんまんうそついたらはりせんぼんのーます

  ゆびきった」』



花華ちゃんはいつの間にか泣き止んでいた



『花華ちゃんまたね

  いっぱい頑張るんだよ』



今度は元気よく返事をしてくれた

花華ちゃんに手を振りながら義勇さんと町の外れに向かって歩く



「良かったのか」

『...良いんです

  約束が嘘にならないように、ただ努力するだけです』



義勇さんはふっと微笑んで私の手を引く

今は、その手が嬉しかった

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セブンス・エイカン(プロフ) - へまとふぃりぃあさん» あはははは.....そうなんです、実はそうなんですよね。夢主ちゃんかなりヤバイですよね!!でも大丈夫、優しくなります。そうです優しくなるんです。(震え) (2020年10月23日 22時) (レス) id: b773bec88c (このIDを非表示/違反報告)
へまとふぃりぃあ - 私は気がついてしまいました…夢主の方が序盤の鬼よりも人を殺しているのでは と、言うことを (2020年10月23日 21時) (レス) id: a69079c5f6 (このIDを非表示/違反報告)
ブルーキャット(プロフ) - 作ってあるので入ってみてくださいパスワードは後で言います (2020年3月13日 8時) (レス) id: aed0ea54d9 (このIDを非表示/違反報告)
ブルーキャット(プロフ) - セブンス・エイカンさん» https://uranai.nosv.org/u.php/novel/Kh199809182/ (2020年3月13日 8時) (レス) id: aed0ea54d9 (このIDを非表示/違反報告)
ブルーキャット(プロフ) - セブンス・エイカンさん» はいそんな感じですえっとキャラクターでネズコちゃんも一緒にいるってことになってます本当は箱の中にいますけど夜しか出ない感じです (2020年3月13日 7時) (レス) id: aed0ea54d9 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:セブンス・エイカン | 作成日時:2019年9月10日 23時

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