9:大切なのは何が、じゃなくて想いがこもっているかだよ ページ10
「というわけで街に繰り出した訳だが」
「お前らいくらある?」
3人は手に握った金を出し合って数える。
数えるほどの量もないのだが。
「かろうじて1000円か」
手に持ったお金を見て桂がため息をつく。
「お前ボンボンだろ?何これっぽっちしかないんだよ」
高杉が500円、桂が400円、銀時が100円。
お小遣いの範囲だからしかたない。
「それを言うなら手前なんでそんなもんしかねぇんだよ!てかさっきそれ先生に貰った分だろ!」
「ジャンプ買ったらさぁなくなっちまって」
「んなわけあるか!ジャンプは1000円するんですか?アン?」
「こんな往来で喧嘩する馬鹿がいるか!」
「お前も声がでけぇんだよ!」
「ちょっと、アンタ達何してんの」
3人でわーぎゃーと道中で3人が言い争っていると呆れたような声をした女子が割って入る。
「紗夜」
「あれ?Aはいないの」
そう言って3人の後ろを除くこの女子は松下村塾の門下生でありAと1番仲が良い紗夜だ。
「紗夜殿は買い物か?」
「明日Aの誕生日だからみんなと買い物した帰り」
そう言う紗夜の手には紙袋が下げられていた。
「何を買ったんだ?」
「髪飾り。松陽先生が着物を買ったって言うからね。アンタ達も何か買いに?」
「そうだ。しかし何が良いか迷っていてな」
「そんなのはアンタらが選べばなんでもいいに決まってるでしょ」
そう紗夜が言うのでバカ3人は余計に何を買っていいか迷うことになった。
「とは言われたものの使えるもんじゃねぇと」
「もうこれで良くね?」
銀時がそう言って見せたのは野良猫。
「いや、可愛いがそれは流石に」
首を掴まれた猫は中で前足をバタバタとさせて逃げたそうにしている。
「…可愛いなお前」
「おい、ヅラ。…ヅラ?戻ってこい。こっちの世界に帰ってこい?!」
白い毛に丸っとした黒い瞳。
動物好きの桂が銀時が掴んでいる猫に近づく。
「シャーッ」
桂の手が猫の頭に触れようとしたと同時に猫は銀時の手から逃れてその拍子に桂の手を引っ掻いた。
「チッ、逃げやがった」
結構深く爪が手に刺さったのか桂の手からはとめどなく血が溢れ出てくる。
「ったく真っ赤じゃねぇか」
「これくらいなんてことは…あぁっ!」
「なんだヅラ。血と一緒にご自慢の知性も流れ出ていったか?」
突如大きい声を出した桂に銀時は呆れ顔で鼻をほじくっている。
「良い"ぷれぜんと"が思いついたぞ」
10:家族っていいよね→←誕生日篇 8:師にはやっぱり適わないよねっていうかあの拳には逆らえないって言うか
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