4:調子狂うんだよ ページ5
「アイツ相手にあそこまで出来れば上出来じゃね」
他の門下生が帰ると縁側で座る女を見つけると思わずそう声をかけてしまった
「銀時様、それは慰めですか?」
「別に。俺はお前を認めたんだよ。気に食わねぇとこもあるけど」
俺がそういうと大きな目を大きく瞬きさせると微笑む。
「ありがとうございます。皆様に銀時様はとてもお強いと聞きました」
「まぁ一応」
「銀時様は凄いですね」
私はまだまだです。そう言うと女は顔を伏せる。
「あのさ、」
「はい?」
「その銀時様っていうのやめね?」
最初の時から気になっていた。丁寧な言葉遣いに敬称。
「俺そういうの苦手なんだよな」
「そうですか。ではなんとお呼びすれば」
「ほらそれ。もっと家族と話す時みたいな感じで話せねぇの?」
「すみません。家でもこれなので」
そういうと本当に申し訳なさそうに黙り込んでしまう。いや、どんだけ真面目だよこいつ。
「んじゃあ、まぁそれはいいや。お前はなんで高杉に勝とうとすんの?」
ここに居られることになったのだから別にあのバカに勝つ必要性はないのに。
「それは最初に勝てばここに居られる、と決められたことですので、勝たなければ」
理由が、許可がなければここにいてはいけない。そんなふうに思っていそうで。
「別にお前がここに居ることに理由なんて要らなくね?…まぁアイツに勝ちたいなら協力してやってもいけど」
「本当ですか?銀時様!」
「アイツが女に負けるのを見るのも楽しそうだしな」
俺がそういうと女は楽しそうに笑う。
「あ、あとみんなと仲良くなりてぇんならその言葉遣い本当にやめろよ」
今日1日女に興味を持った奴らが話しかけに行っていたがそのうちに距離を置くようになっていた。
「では、どうすれば」
「例えば名前をあだ名とか呼び捨てで呼ぶとか」
「銀時…?」
「そうそう。それでいいんじゃね?」
そんなテキトーな。と言うとまたケラケラと笑う。このお嬢様の笑いの沸点は相当低いらしい。
「言葉遣いはどうしましょう」
「俺らの真似すればいいだろ。あ、でも松陽のはダメだぞ」
松陽の丁寧な言葉遣いを思い出してそう付け加える。
「分かりました。では銀時も私の先生ですね!というか銀時。私のことも名前で呼んでください。A、」
「覚えてるよ。A」
名前を呼ぶとそれは嬉しそうに笑う。
Aの笑顔をみるとなんだかやさしい気持ちなる。
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