3:気に食わない女 ページ3
「ということで今日からみんなと学ぶ仲間になりましたAさんです」
「緋井Aです!よろしくお願いします」
ということで、って何がということでだ。と心の中でツッコミを入れる。
昨日の出来事を省略し過ぎだろう。
「え、緋井って名門だよね」
「あの武家の?」
例の女が自己紹介をすると何故か周りがざわめき出した。
「おい、ヅラ」
「ヅラじゃない桂だ」
いつものヅラの決まり文句を無視すると言葉を続ける。
「アイツって名門家のお嬢様なの?」
「ここら辺ではそこそこ名が知れているな。そもそも高杉と許嫁なのだから当然だろうが」
なんだ、アイツと一緒のお嬢ちゃんかとまた悪態をつく。
昨日の出来事はそこそこ凄いことだと思うがあっさり松陽が迎え入れたのが気に入らない。
「晋助と銀時の隣が空いていますが、どちらにしますか?」
何て質問を、そんなのあのバカの隣に決まってんだろ。
馬鹿だなぁと松陽の方を半目で伺う。
「…それでは銀時様の隣で」
「「は?」」
ニコッと微笑む顔は俺の方だけをじっと見ていては?と俺と同時にいった高杉には目もくれない。
「そうですか。それじゃあそこに座って、授業を始めます」
「よろしくお願いします。銀時様」
コイツ。松陽並に何考えてるかわかんねぇ…
.
.
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「晋助様、今日もお相手をお願いします」
剣の授業となると大抵の女子達は見学するか、帰るかするのにこの女はちゃっかり男達に紛れて参加している。
「今日は手を抜かないでください」
1度負けても懲りないのは流石幼馴染で許嫁と言うべきか同じらしい。
「傷がついたら嫁に行けなくなるぜ」
「大丈夫です。私の嫁入り先はもう決まっていますから」
2人の勝負が始めると何人かが興味深そうに手を止めてその勝負の行く末を見届ける。
まただ。また防戦一方。
「勝負ついたな」
最初の言葉通り今日こそ高杉は手を抜かなかったようで昨日よりも早く決着が着いた。
そしてあの女は昨日とは違ってそこそこ怪我をしていた。
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