2:女を舐めてかかると痛い目に遭う ページ15
｢女が戦場に行くのか？｣
来るとは思っていたが既に攘夷戦争に参加していた先輩とでもいうのだろうか、男達はAの鬼兵隊の羽織を着た姿を見ると怪訝そうな顔をした。
松下村塾のメンバーや鬼兵隊のメンバー達は同意の上のことなので動じない。
｢姉ちゃん、女が出ていけるほど戦場は甘かねぇんだよ｣
中でもガラのわるそうな男がAに絡む。
｢夜の戦場ならいいかも知んねぇがな｣
ギャハハハと下品な笑いを浮かべる男達に後ろにいる男達や救護班として参加しに来た紗夜達は今にもキレそうだ。
｢おい、さっきから何なんだよ｣
しかしAはいつまでも微笑んでいて着物の襟ぐりをグッと掴まれても尚、何故か微笑を浮かべている。
頼みの晋助や銀時、桂は"おつかい"を頼まれてしまったためにいないこの状況で。
｢だって可笑しいじゃないですか｣
｢はぁ？！何言ってんだよこの女｣
不服だが若く、新参者の人間であるためにこの男達の指示に従うしかないために来て１週間、あまりいい扱いはされていない。というか戦場に立たせてもらえてない。
｢だってあなた方より強い晋助達が使いっ走り？というか汚い顔を近づけないでくださいな｣
｢テメェっ言わせておけば！｣
殴りかかろうとした男に後ろにいたメンバーが止める前にAが拳を受け止める。
｢ですから｣
そして腕をひねりあげると地面に入れ伏せさせた。
｢か弱い女性に優しく出来ず、ましてや拳を振り上げる男の言うことなんて聞きたくないって言ってるんです｣
その様子に慄いた男達をよそにAは笑顔で続ける。
そしてそれを見た紗夜はやっぱり逞しくなったな、と感心してしまう。
｢さて、それでも私を女だと舐め腐った目で見ますか？｣
｢な、なんなんだよ｣
｢何って…松陽の弟子のAです｣
語尾に音符のつきそうな調子で言うAに何故か後ろで控える男達まで引き気味だ。
｢あと、この子達に手を出したら私が極楽に行かせてあげますよ｣
紗夜達のことを指してから先程の男の腕をさらにひねると男達はコクコクと激しく首を縦に振った。
それからAを女と侮るもの、銀時達を新参者の馬鹿にするものはいなくなった。
と言っても戦場に出た時点でクソみたいな先輩は馬鹿にしようとなんて思えなくなるのだが。
｢さて、みんな。晋助達がいつ帰ってきてもいいようにお昼ご飯を作りましょ？｣
3:逞しい姫君(後付3/16)→←攘夷戦争篇 1:交わした約束
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