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ガラララッ
「あ、ぺ神おらんのか」
残念やったなあ。
と明らかに私に向けて発せられる言葉。
優しくソファの上に乗せられ、棚から色々薬品を取りこちらに持ってくる。
「俺にはさせたないんやろうけど、我慢してな?」
『……っ、』
真っ赤な優しい瞳が私の目を、脳を、突き刺す。
パーカーを取りタンクトップになっているタートルネックになれば、腫れた内出血で酷く醜い肩が露出する。
「ん」
何かの薬品を塗られ、包帯を巻かれる。巻いている間はどちらとも言葉を発さず、静かな部屋の中、包帯の擦れる音と、時計の音だけがした。
「ほんま、ごめんなあ」
『……』
「もっと、考えて動くべきやった。君の強さに甘えとったんや。」
『……』
沈黙を破ったのは書記長で、嘘だとわかっていても瞳が揺らぐ。
したら私がさっきふざけてやった手の取り方やなくて、しっかり、安心させるみたいに私の握ってあった拳に手を重ねた。
「心配しとる、君が大事やから。少ししかおらんけど、好きや。物凄く好き。ほんまに、ほんま」
『…嘘や、』
「嘘やない」
『…信じられる訳ないやん、どうせ、見捨てられるんなら、最初っから信じん方が幸せや』
すう、と息を吸う音が聞こえて、優しく抱きしめられる。
乾いた笑いしか出ない、けれど突き放さない私はもう駄目なのかもしれない。
それが怖くて仕方が無くて、もう優しさに溺れてるのかと思うと泣きたくなって。書記長が嘘吐いてないのを知って、逃げられない。
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チンアナゴ(プロフ) - 88で呟きを聞いている人って誰なんですかね…?それともこれからのお話で明らかになるやつですか? (2020年1月4日 10時) (レス) id: 8599bbc4dc (このIDを非表示/違反報告)
あこ(プロフ) - もう........尊とすぎて語彙力が....次も楽しみです!!がんばってください!!! (2019年12月8日 10時) (レス) id: 8776df8bdd (このIDを非表示/違反報告)
壱(プロフ) - 闇鬼星さん» お気遣いありがとうございます。被害者出ない程度で悶えてもらえたら嬉しいです。 (2019年12月8日 9時) (レス) id: 58d763e253 (このIDを非表示/違反報告)
闇鬼星(プロフ) - 更新お疲れ様ですぅ…………ゾムさんが可愛すぎて悶えて妹にライダー○ックしてました( '-' )頭痛くならないほどに更新頑張ってください……超絶応援してますですはい (2019年12月8日 8時) (レス) id: a2f6134a7d (このIDを非表示/違反報告)
壱(プロフ) - かるたさん» 嬉しいですが痛いので倒れないでくださいね。 (2019年11月28日 4時) (レス) id: 58d763e253 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:壱 | 作成日時:2019年11月4日 16時