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「リツもそう思ってるから」
「リツってば真顔で冗談言うから」
「リツって素直じゃないから」
「自分はリツの考えてること分かっちゃうんだよね」

 徐々に、彼女は勝手に自身の言葉を“代弁“するようになった。
 けれど代弁と言ってもその真偽はバラバラ。いつだって彼女の都合の良いように、意見を述べる際の賛同の駒として扱われるようになっていく。
 もちろん、そこで黙っているわけにもいかない。その場ですぐに反論したものの、皆揃って本人よりも彼女の意見を信用する。
 不快に感じて離れようともしたものの、「少女の良き理解者」である彼女は「素直じゃないんだから」と嘘を吐いて少女の隣に居座った。
「素直ではなく、真顔で淡々と冗談を言う」ことになっている少女は、そこでようやく、自身に表情がないことがたまらなく恐ろしくなったのだ。

 笑わなければ、楽しんでいることを伝えられない。
 泣かなければ、悲しんでいることを伝えられない。
 眉をつり上げなければ、苛立っていることを伝えられない。

 だと言うのに、少女はその術を持ち合わせていなかったのだ。


 またある時、彼女が友人と話しているところを見た。放課後の、彼女ら以外誰もいない教室だった。
 特に意味もなく入るのを躊躇った少女は、扉についた窓から見えぬ位置に動き、こっそりと聞き耳を立てた。
 そして教室の中の話題は、幸か不幸か少女の話題だった。

「あの子、ほんとに表情全くないの。おまけに特別喋る方でもないから周りのこと簡単に言いくるめれる」
「顔だけは綺麗だから、人目を惹きつけれていいんだよね。言わば誘蛾灯的な?」
「あの子には感謝しなくっちゃ。おかげでこっちはたくさんいい思いしちゃってるし。最高のお人形さんだよねー」

 すっと、頭の中が真っ白になったような気がした。
 お人形。その言葉に不快感を覚えた。だってそれは人ですらなくて、彼女は自分のことを人とすら思っていないのかと。
 何故自分は今こんな状況に陥っているのだろう? 何がいけなかったのだろう? どこから間違えたのだろう?
 だって自分は、否定の言葉だってちゃんと発したじゃないか。何度だって違うと言い続けた。拒否したはずだった。それでも周りが信じてくれなかったのは一体何故だ?

――表情がないからだと言うのか?


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望月(プロフ) - キューブさん» ボード問題ないです!お手数おかけします……🙇‍♀️ (8月21日 23時) (レス) id: 9a602f6b1b (このIDを非表示/違反報告)
キューブ(プロフ) - 望月さん» 返信ありがとうございます!ボードにて関係相談したいのですが、望月さんのボードにお伺いしてもよろしいでしょうか? (8月21日 23時) (レス) id: 4a22970169 (このIDを非表示/違反報告)
望月(プロフ) - キューブさん» 初めまして🙇‍♀️お声かけありがとうございます!実は私もキューブさん宅の福家ミノルさんを見かけた時から結ばせて貰えたら……と思っていたので、是非関係結べると嬉しいです🙇‍♀️ (8月21日 23時) (レス) id: 9a602f6b1b (このIDを非表示/違反報告)
キューブ(プロフ) - 突然のコメント失礼します……終末戦記に契約者、福家ミノルで参加しているキューブと申します。よろしければ、ミノルとリツさんとで関係を組んでいただけませんか? (8月21日 21時) (レス) id: 8222095e45 (このIDを非表示/違反報告)
元素(プロフ) - CS提出ありがとうございます!ひょ、表情筋……帰ってきて…元々なかった…… 不備等ありませんのでこのまま受理させていただきます、今後も当企画をお楽しみください! (7月2日 11時) (レス) @page14 id: c288555a46 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:望月 | 作成日時:2022年7月1日 23時

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