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「……ふぅ。いくら契約のためとは言っても、流石に血を聖杯1杯分注ぐのは堪えるものがあるわね……。痛みのお陰ですっかり目が覚めちゃったわ。……いえ、ある意味いいことかもしれないけれどね。貴方は大丈夫だった？ お互い契約を交わしたばかりなのだから、今日はゆっくり休みましょう。無理して普段通りに動こうとしないこと。……分かった？」
「なんの話だったかしらね……何かの物語で、甘味だけを食べ続けた生物は、肉や血の味、香りも全て甘くなる……なんて物語を昔見たのだけれど。その理論で行けば甘いミルクティーとケーキ、貴方の作るとびきり美味しい御馳走を食べて生きている私の血は、一等甘くて美味しいはずよね？ ……ふ、ふふ。冗談だから無理して嘘をつかなくていいのよ。からかってしまってごめんなさいね」
「……ん……もう、あさ……？ そ、っか……ん、おはよぉ。よく、ねれた？ ……そっかぁ、よかった。……ふふ、おはようのキス、しよう？」
「……ほんとに、器用だねぇ……いつも髪の毛、とってもかわいくまとまってて……わたしね、あなたのおかげで、鏡を見るのちょっとたのしいの。ふふ、だって、鏡を見たらとってもかわいいわたしがね、目合わせてくれるから。わたしのこと、ちょっとすきになれてね。だから、あなたにまとめてもらった髪を見るの、いつもたのしみなの」
「さっきお話してた子、だあれ？ ……そっかぁ、新入生……教室までのみち、聞かれただけだったんだね。……なあんだ、びっくりして損しちゃった。……んーん、なんでもない。みち聞かれてちゃんと答えたの、やさしいね。ふふ、えらいえらい……さすがわたしの自慢の従者、だね」
「お茶、淹れてくれたの？ うれしいなぁ……わたしね、あなたの淹れてくれたお茶がね、いちばんすきだから……うん、おいしい。甘さがちょうどよくてね、だいすきなの。とってもわたし好みでね……わたしの好み、きっとわたしより分かってるんじゃないかなぁ」
「ん……この本を読み終わったら、寝るから……先に寝てていいよ。……うん、おやすみなさい。……いい夢みてね」
「……あのね、わたしね……ほんとはね。あなたが悪魔でよかったなぁって、考えたことあるの。だってわたしが天使で、あなたが悪魔だったからわたし達は契約できたし……天使同士、悪魔同士であなたと契約ができなかったら、わたしきっとだれとも契約してなかったと思うの」
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作者名：望月 | 作成日時：2023年3月20日 10時
