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「そうね、今日は珍しくよく眠れて……本当に、いつぶりかしら。だから眠くないの。いつも纏わりつく眠気がないだけで、大分楽になるものね。……皆にとっては、これが普通なのかもしれないけれど」

「私のギフト? ……あぁ、決闘を見てたのね。それで気になったと……ふふ、秘密。簡単に言ってしまったら、つまらないでしょう? それに、もしかしたらいつか貴方と戦う日が来るかもしれないしね。ネタバラシをして不利になるのは、ね。だから内緒。そんなに知りたいなら、私のことについて沢山お勉強してみて。貴方と、仲良くなりたいの」

「お茶、美味しいでしょう? 茶葉も勿論だけれど……あの子、どんどん淹れるのが上手くなっていって。私、あの子の淹れるお茶が特に好きだから、貴方にもいつか飲んでもらいたかったの。今日それが叶って良かったわ。……ええ、そうね。私の自慢の右腕なの。どれだけ頼まれたって他の人にはあげられないわ。それくらい、本当に大事な子なの」

「そうね、この時だけでもしっかりと起きていなきゃいけないわよね。……大丈夫、分かっているわ。……分かっているから……うたた寝しかけていたら、起こしてもらっていいかしら……? いつもごめんなさいね」

「そう、睡眠障害持ちなの、私。上手く寝ようにも眠れなくて。今はどうにか起きてるけれど……元々眠りがすごく浅くてね、休憩時間に仮眠を取ろうにも人の気配が気になってしまって。……彼に? このことを? 言ってないけれど。……言う必要、今は無いと思って」

「簡単に弱みは晒すものじゃないわ。1番重要なタイミングで使うからこそ、深く、重く、しっかりと刺さるんだもの。……貴方の考えていること、当ててあげましょうか。"なんで自分にこの話をするのかが分からない"……どう、当たってる? ふふ、どうしてかしらね。貴方には知って欲しかったのかもしれないわね、私が狡い女なこと」

「あぁ、不眠のことね。あの子、私から離れようとするから言ってみただけ。優しいあの子のことなら、気にするかしらと思って。……前も言ったでしょう、1番重要なタイミングで使うからこそ、しっかりと刺さるんだって。……今がそのタイミングだと思っただけよ」

「──無知を罪と思ったことは無い、無知は無知でしかないから。でも考えを改めるべきね、行き過ぎた無知は貴方の身を滅ぼすだけみたい。例えば、そう…………相手の実力を勝手に推し量り、返り討ちにされた時とか」



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作者名:望月 | 作成日時:2023年3月20日 10時

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