ルーツメイト 第一章 〈A〉

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どうする、
どうする、


ドッドッドッドッ

心臓が凄い速さで鳴ってる


こわい、でも、
今は自分の身を守らなきゃっ


「いやあああぁぁぁっ！！変態！！へんたいいいいいぃぃぃぃぃっ！！！」


羽毛布団の下の男を上から押さえつけてとりあえず殴る、蹴る

バフッ
ボフッ
ガスッ

「ぐっ！」

あ、なんかヒットした！

「このっ！このっ！」

ガスッガスッガスッ

「ぐっ待って、待って待って待って、
痛い痛い痛い痛い痛いやめて死ぬ俺死ぬ！！」


ぞわっ

男の少し高い声が羽毛布団越しにくぐもって聞こえる

と、とりあえずケータイ、警察、電話、

素早くベッドから降りて充電していたケータイを掴み取った

電話っ！


え

、あ、れ？


手に持ったケータイは手に馴染むものなのに

……色が、違う

私のは白なのに。
これ、黒だ。

あれ？でも
パスは同じ…


「…俺の、ケータイ……何、する気ですか」


おずおず、という表現がしっくりくる声

振り返ると
男の子が枕を前に構えながら窺うようにこちらを見ていた。

まだベッドの上にいる彼を見て
途端に感じる違和感



……え？

なに、どこ、ここ？


部屋の作りとか家具の配置は私の部屋とほぼ同じ

でもカーペットこんな色じゃない
ベッドカバーこんな柄じゃない
カーテンこんな薄くない
うちは遮光カーテンだ


「……誘拐？私、誘拐されたの？寝てる間に…」

「いやちょっと待って。俺が聞きたい。あなた一体誰ですか、なんで俺の部屋にってゆーか俺のベッドにいたの」


私も混乱してるけどこの人も早口で捲し立ててくる辺り冷静ではないというのだけは分かる

つまり、何？
どーゆーこと？


「……あぁ、夢か」

「いやいやいや目ぇ閉じないで説明して何なの君は」

「夢の割にリアルだったな、しかも知らない男の子が出てくるし。こんな人周りにいないのに変なの」

「無視しないで寝ないで！」


さぁ寝るのよA
次起きた時にはきっと黄色いカーテンの部屋で
昨日の鍋の残りが冷蔵庫にあって
それで雑炊作るんだ

そんでテヒョンの事で悩むんだよ、それがいい

ﾋﾟﾛﾛﾛ…ﾋﾟﾛﾛﾛ…


「……」

「……」


何で夢なのにケータイの着信音までリアルなの

薄目を開けて画面を見ると
表示される"キムテヒョン"の文字

え？

ﾋﾟﾛﾛﾛ…ﾋﾟﾛﾛﾛ…


「…あの。電話だよね？ケータイ…」

「…テヒョンの、友達？」

「え？」


ﾋﾟﾛﾛﾛ…ﾋﾟﾛ、

手元の着信音が
ぷつりと途切れた

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