ルーツメイト 第一章 〈A〉

48 ページ48

.




「うまいっ」

モグモグモグ…

チヂミとスープとサラダのみの簡単な料理だけどジミンは本当に美味しそうに食べてくれた

ぱくっ

「うん、我ながら良い味付け」

「ふふ。自画自賛ー」

「悪い？」

「んーん。ほんとに美味しいよ」

「……」

「ふふ照れるな照れるな」


…だって
ジミン気付いてないのかな

美味しいよって
すんごい優しい顔して言ってるんだよ

ほんとに何なんだろう
お兄ちゃん、とはちょっと違う気がするけど
でもそれに近い感じ


「ねぇジミン」

「ん？」

「私がまた消えたら寂しい？」

「…ん？」

「だから、私が向こうに戻ったら。寂しい？」

「………ん？」

「もー！聞こえてるくせに！」


すっとぼけた顔するジミンに軽くパンチをお見舞いする


「いて」

「ふんだ」

「拗ねないでよ」

「別に拗ねてないよ」

「うそだぁ」

「もー、つつかないで！」


私のほっぺをツンツンしてくるから
ぺいっとその手を払った


「Aちゃーん？」

「あ、スープ無くなった。おかわりしてこよ」

「わー無視しないで！」

「よいしょ」

「俺が入れてくるから！はいここ座ってて！」


立ち上がった私の腕を引いて無理矢理座らせると
お椀を奪ってキッチンへ向かったジミン

…ふふ
必死になってやんの
おっかしー


「…はい、具も沢山入れてきたから……なに笑ってるの？」

「ん？なんにも？」

「機嫌直った？」


元々怒ってないんだけど
ちょっと拗ねたフリしてただけで


「んー？」

「聞こえないフリしないでよもう」

「自分が最初にしたくせに」

「……」

「……」

「「ぷっ」」


なんかもうジミンとだと何でも可笑しい
笑いの沸点低くなっちゃったのかな


「あー、Aってなんでそんななの」

「えーなにが？」

「すーぐ笑うし」

「それはジミンじゃん」

「俺はつられるのー」


そうかな？
絶対ジミンの方が笑ってるのに

こんなに一緒にいてホッとする人なのに
住んでる次元が違うなんて変なの


「ねージミン」

「あー寂しいよ寂しい」

「遅いよ！ってゆーか違うよ！」

「え？じゃぁなに」

「何で私たちって会えたのかな」

「……」

「こんなに笑ってるのに。本来会えなかったかもしれないんだよね」


そう考えるとなんだか切ない
このジミンを知らない私がいたかもしれないなんて

49→←47

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す