ルーツメイト 第一章 〈A〉

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「パラレル、ワールド…」

「…うん」


こんなSFとかオカルト好きじゃなければ滅多に口にしないワード、急に言われても困るよね


「…うーん…全然わかんない」

「私もほとんど知らないんだけど。でもなんとなく、ここまでの話だとそれが一番当てはまる気がするんだよね」


信じらんないけど二人ともこんな体験しちゃうと。100％ない、とは言い切れない気がする


「ネットとかで調べられるかな？」

「あ、私のケータイ使う？」

「…あ！俺確かポケットにケータイ入れてたはず…」


思い出したようにパンツのポケットに手を突っ込み
そのまま黒いケータイを引き抜く


「……あれ…」

「……画面、つかない？」

「…いや、つくんだけど……」


そのまま画面をこっちへ傾けてくるから
私は顔を寄せて覗き込んだ


「…電波、立たないんだ…」


やっぱり
私たちの世界は微妙に違うんじゃないだろうか


「……俺、いつまでここにいるんだろ…」


ぽつりと聞こえた呟きは心細そうな声色で

今朝、私が感じた漠然とした不安が彼にも急に押し寄せてきたんじゃないかと心配になった


「…わかんないけど、私も急にこっちに帰ってきたし。帰る手はあるんだと思う」

「……」

「…とにかく、調べてみよう」


そっと肩に手を置いて慰めると
まだ堅い表情ながらも、ぎこちなく微笑む

…心細い、だろうな


「とりあえずあったかいもの飲みたくない？」

「…え、」

「コーンスープ、作ってあげる」


キッチンの棚から再び箱を取り出してシャカシャカと振る
それを見たジミンは少しだけ息を吐き出して、
今度はふにゃりと笑った









「うーん…」


分かるような、分からないような…


「情報がありすぎてどれが正しいのかわかんねー…」

「しかもほとんどがそんなに有力な情報だと思えないんだけど…」


そもそも"異世界"じゃなくて"別次元"って話からややこしい


「でもつまりあれだろ？俺らが本当にその"別次元"の人間だとして、それぞれの世界で起こったはずの出来事とは違う出来事は、お互い"ありえたかもしれない"出来事、って事？」

「ちょ、ちょっと待って、話がややこしすぎて頭がついていけない！」

「俺も自分で言っててわけわかんねーよ！」


二人とも画面から顔を上げて天を仰ぐ


「「あー…」」

「……」

「……」

「「ぷっ」」


またシンクロした一連の動きに
お互い笑ってしまった


「…なんか、こんな状況だけどさ、」

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