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大学の新校舎を後にした私は
そのまま門を抜けて表に出る
そこから続く坂を下っていくと見えてくる小さな建物は
うちの大学の学生たちもよく利用するこぢんまりとしたカフェだ
カランカラン
木製の扉を開けると
笑顔の店員さんが出迎えてくれた
「いらっしゃいませ。待ち合わせですか?」
「え?」
「いつも一緒に見える方があちらに…」
奥へ目配せする店員さんにつられて
そこまで広くない店内を見渡せば
いつもの窓際の席に見知った人影
「…ありがとうございます」
「オーダーはどうされますか?」
「あ、ココアで」
いつもと同じメニューを頼むと
店員さんはにっこり微笑んでくれる
わかってます、って笑顔
素敵な人だな
そのまま奥へと進むと
さっき一度こちらを見たきり、ずっとケータイをいじっているテヒョンの向かいに座った
「…待たせた?」
「んー…ちょっと待って」
「またケータイゲーム?ほんと好きだよね」
画面を連打するテヒョンに半ば呆れて笑うけど
テヒョンは特に何の反応もなく操作を続けて。
すぐにそれをテーブルの上に置いた。
「……」
「……」
…気まずい、非常に気まずい
「…なんか頼めば?」
「あ、さっきココア頼んだから」
「そ、」
テヒョンの前にはすでにコーラフロートが置いてある
いつも頼む彼の特別メニューだ
「……困った?」
「…え?」
「急に好きとか言われて」
カラン…
ストローの先に噛んだ痕ができてる。
この行動は行儀悪いとかストレスだとか
あと欲求不満とか一般的に色々言われてるけど
でも私は知ってる
これは不安な時の彼の癖だ
「…困ったってゆーか…」
「……」
「………ビックリした、かな」
これは嘘じゃない
「うん。だと思った」
「……」
「あの後ずっとロボットみたいな動きしてたし」
じっとこっちを見据えるテヒョン。
私もなんとなく目がそらせずにいる。
「…いつから?」
「え?」
「いつから、そんな風に思ってたの?」
私がずっと想い続けていれば
もしかして今頃は長い長い片想いが成就して
私たちは幸せなカップルになっていたんだろうか、とか。
未練がましい思いがムクムク。
あぁ私カッコ悪い。
「……いつから、だろ…」
自己嫌悪に陥っていると
テヒョンがストローの先に視線を落として呟いた。
指先で噛み痕をいじる
「自覚したのは最近だけど。でもきっとずっと好きだったんだと思う」
「……え?」
「多分。本当は昔からずっと」
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いちごミルク(プロフ) - 世界観がすごくてハマってしまいます!! (2017年11月14日 5時) (レス) id: 62f9fc312d (このIDを非表示/違反報告)
睦月(プロフ) - ゆかこさん» またまたコメント嬉しいです(TT)本当にそんな大層なモノじゃないのですが…汗) でもそんな風に思って頂けるなんて無い脳みそ捻った甲斐があります!(TT)無事次の見通しができたら更新再開しますので、宜しくお願いします~(*^^*) (2016年1月30日 17時) (レス) id: 261454fd60 (このIDを非表示/違反報告)
睦月(プロフ) - ちょんぱむさん» コメントありがとうございますー!嬉しいです(TT)本当ですか!?数あるウラツクの中で読んでもらえてるだけでも嬉しいのに…光栄ですm(__)mおててもじみんちゃんもしっかり書いていきたいと思いますので今後ともお付き合い下さい! (2016年1月30日 16時) (レス) id: 261454fd60 (このIDを非表示/違反報告)
睦月(プロフ) - waka38bさん» わーん!ありがとうございます!!ちゃんと最後まで舵取っていけるように頑張りますー(;_;)怠け者発揮しないように見守っててください!(笑) (2016年1月30日 16時) (レス) id: 261454fd60 (このIDを非表示/違反報告)
睦月(プロフ) - りこふぁんさん» お久しぶりですー!ありがとうございます…うぅ(TT)そう言って頂けて気が楽になりました(TT)とりあえず生きて帰ってくるので!再び更新再開した際には宜しくお願いしますねー! (2016年1月30日 16時) (レス) id: 261454fd60 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:睦月 | 作成日時:2016年1月12日 17時