アイツと私の関係【赤】

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「Aさん？」

呼ばれた名前に振り向けば、そこにいたのはいつも通りの牧田ちゃんで。

やっぱり可愛い。









牧田「…あ、ちょっと待ってください！」









待ってくださいね、とガサゴソと鞄から出てきたポーチすらも可愛くて。

やっぱり可愛い子は持ってる物すらも可愛いのか、なんて。







牧田「これ、使ってください。
Aさん美人なのであまり厚化粧は進めたくないですけど、」







「目元、赤いので」
そう渡された化粧ポーチ。









「牧田ちゃんは、可愛いね。」







あの日だって。


見かけた牧田ちゃんは私なんかとは比べ物にならないくらいの可愛さで。

そんな可愛さに勝てるはずなんかないと
逃げ出した。




逃げてなんかやんない、なんて重岡と向き合ったはずなのに

結局逃げ出してる自分。







「…私、だっさい。」




牧田「そんな事ないです！」







呟いた瞬間。

初めて聞いた、牧田ちゃんの少しだけ怒ったような声。


え、と顔を上げれば何故か少し悲しそうな怒ったような表情を牧田ちゃんはしていて。








「牧田ちゃん…？」


牧田「Aさんは、私の憧れなんです！
だからダサくなんて絶対ないです！」







いつになく真剣にそう言う牧田ちゃんは、
「今だから言いますけど」と





牧田「私、実は重岡さんの事狙ってました。」





そう言った。


急なカミングアウトに「え？」と自分の情けない声。



でもすぐに、じゃあやっぱり…と視線を伏せれば





牧田「まぁ、今は彼氏いるんで狙ってないですけど。
それに、」







と、またまた急なカミングアウト。




「え、彼氏？」


牧田「はい。大学の頃の同級生です。」




「付き合ったのは最近なんですけどね」
と笑う彼女は、とても可愛くて。




でも私の頭の中はごっちゃごちゃ。



牧田ちゃんに彼氏？

今は狙ってない？




ん？と首を傾げれば、そんな私の様子に牧田ちゃんはくすっと笑って、






牧田「でもびっくりしました。
土曜日私もデートだったんですけど、」




「待ち合わせ場所、一緒なんですもん」
そう言った。







「えぇ！？」


牧田「重岡さん見かけて、声かけちゃいました。」


「え、でも、背伸びは？」





やばい、余計ごちゃごちゃになってきた。
と頭を抱えれば

牧田ちゃんも「背伸び？」と不思議そうに首を傾げるて、けどすぐに「もしかして！」と。





牧田「目に、ゴミが入っちゃって。」

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