アイツと私の関係【赤】

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ふわっ、と目の前に広がった重岡の香り。




背中に回った腕はぎゅっと力が込められて。

触れられたそこから、
体温が上がっていくのが自分でもわかった。









重岡「嫌いになんか、」









「なれるわけないやんか。」


そう呟いた重岡の顔は見えなくて。

でも、耳元から聞こえたその声は弱々しくて。









重岡「…怖いねん。

怖いくらいに、お前の事を好きになってく。」









そ、っと離れた体温。


それなのに重岡の表情がわからないのは、周りが暗いからか。

私が酔っているからなのか。


重岡が、少しだけ俯いているからなのか。







「重岡、」








前髪、伸びたね。



手を伸ばしてほんの少し横にずらせば、

やっと合った視線。




それと同時、どくんと鳴った私の胸。









重岡「A、好きや。」









気づいてなかったわけじゃない。






初めて重岡に告白されたあの日から、
俺を意識しろと言われたあの日から、



私の頭の中、というか心の中には必ず重岡がいて。

無意識のうちに重岡を探していて。





ただ、こんなにも重岡を意識してしまう自分に頭が追いつかなくて。


動揺してる自分をバレないように、って隠すのに必死で。





でもそれは言い訳だって。






自分の気持ちに、気づいてないふりしてただけ。









「今週の土曜日、重岡に会いたい。」









仕事帰りじゃない。

居酒屋でもない。





お洒落して、
少しでもいつもより可愛くなって









重岡に伝えたいことがあるの。

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