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俺がここで「彼女から離れてもらえますか」と言えば間違いなく執事クビだろう。
「星宮さーん！」
俺達の後ろから元気のある聞き覚えた声が聞こえた。
後ろを見るとその声の持ち主が俺達に手を振ってやって来た。
それは紫耀だった。
「あなたは…」
『ひ、平野様っ！？』
紫耀を見た途端、彼女の周りにいた男達は戸惑いの声を上げた。
そして男達は彼女の元から離れて行った。
「こんばんは、星宮さん。」
「平野様…」
彼女が紫耀に向かって深々と頭を下げた。
どうやら紫耀は俺が思ってた以上に凄く偉い人だった。
「隣にいるのは私の執事の…」
「廉だよね？」
「随分偉いんやな紫耀は」
「えっ？」
彼女がきょとんとした顔で俺と紫耀を交互に見た。
「永瀬、どうゆうこと？」
「彼とは昔からの友達でして…」
そう言うと彼女は口を開けたまま立ち尽くした。
「いやぁ実際に見ると本当に童話の中のお姫様だね」
紫耀がそう言っても彼女は俺達が友達な事に衝撃を受けていて耳に入っていないようだ。
「紫耀が来るんならこのピアスいらんやろ」
「俺の知らない所で流れてる情報が気になるの」
と小声で会話していると、ようやく現実を受け止めたのか彼女が「永瀬は平野様の前だとどのような態度なんでしょうか」と尋ねた。
「とても身の程を弁えています…と言いたいんですけど俺の前だと関西弁でもう…」
「営業妨害になるのでやめていただけます？」
俺がそう言うと彼女はふふっと笑った。
「永瀬って私以外だとそんな感じなんだ」と柔らかく笑う彼女は紫耀にも、誰にも、見せたくないくらい可愛いかった。
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作者名：薄 | 作成日時：2022年11月19日 0時
