For you (ページ13)

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「では、こちらに」

指定された椅子に座ると、黒い手帳が目の前に置かれた。

「あの、これは…」

「星宮家の掟が書かれているものになります。永瀬様は星宮お嬢様の専属になりますのでこちらには一通り目を通して頂きます。」

俺はその掟が書かれた手帳を手に取った。

黒い手帳を見ると、左上に小さくゴールドの星の刺繍が施されている。

捲ると、筆で大きく3つの事が書かれていた。

使用人となる者の掟をここに記す

主人に忠誠を誓うこと。

主人をよく知ること。

命に替えても主人を守り抜くこと。

「この3つのことは必ず心の中に刻みこんでください。それともう1つ、

使用人は一切プライベートを明かしてはなりません。」

手帳にも同じように書かれていた。

彼女の執事になっても俺は自分の素性を明かすことはできない。

それは養成学校で教えて貰った。

「星宮お嬢様を良く理解し、お嬢様のサポートをお願い致します。」

そう言い案内人は深々と頭を下げた。

「分かりました。」

そう言ったと同時に時計のベルが鳴った。

「11時でごさいます。今からお嬢様との面会になります。」

やっとこの時が来た。

ついに彼女との何年ぶりかの再開になる。