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「優しく、ギュッ！？」
「…！？」
なんの騒ぎ？
検査も終わり、ナースステーションの方へ向かっていると沼津さんの声が角を曲がる前に響いてきた。
いや、声大きいな…。
でも少し気になる。
私も話に混ざろうと思い角を曲がると、衝撃的な言葉が聞こえてきた。
「魔王が、ギュッ！？」
「…魔王……。」
ピタリ、と足が止まる。
向こうからは弁解をする佐倉さんの声が聞こえてくるが、そんなのどうでもいい。
魔王は浬のこと。
佐倉さんが必死に弁解する、ということは抱き締められたのは佐倉さんで間違いない。
…なんだ…私だけ特別とか、そんなのじゃなかった。
佐倉さんのことも、抱き締めてたんだ。
傷ついてたら誰でもするなんて、浬の性格じゃ有り得ない。
だったらもう…佐倉さんのことを好きになっているというのはほぼ確定の事実で。
「やば…結構、くるな…。」
私は逃げるようにその場を立ち去った。
「補助人工心臓を入れる？」
「はい、杏里ちゃん…ステージCからDの治療という構成心不全になっています。」
執務室へ入ると、浬と小石川先生の話し声が聞こえてくる。
杏里ちゃんの病気が…ステージD…。
なんだかさっきから嫌な場面に遭遇してるな…。
「心臓移植が可能になる日まで、何とか今の状態を保たないと。」
私は杏里ちゃんの状態を知りたくて、執務室へ入った。
案の定2人の視線がこちらへ来る。
「…杏里ちゃんのこと、聞こえてしまいました…すみません。でもそれ…あの時と…！」
浬の隣に立ち、小石川先生に伝える。
そう、これはあの時と状況がよく似てる。
＿みのりの時と。
検査結果を見ながら涙を流す彼女の顔は、どうしても頭から離れない。
浬と共に見かけた時、全てを悟った。
嗚呼、ダメだったんだ…と。
1番辛いのはみのりなのに、こっちが泣きそうになって。
「…すみません。取り乱しました。」
私が頭を下げると、小石川先生の止める声がする。
「大丈夫。僕も、考えてしまっていたからね。」
「小石川先生も…ですか？」
「あぁ…あの時と状況がよく似ている。」
「はい…ですので…！」
私は背筋を伸ばし、小石川先生と向き合う。
「私も杏里ちゃんのこと、考えさせてください。もう二度とあんなことが起こらないよう。」
そう断言した今でも、浬は俯いたまま。
また彼が何を考えているか分からなくなった。
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理音(プロフ) - 続き気になります！更新楽しみにしています！ (8月9日 23時) (
レス) id: d2e2ccbd11 (このIDを非表示/違反報告)
moeka(プロフ) - 更新がなくて寂しいです。更新してくれたら嬉しいです。待ってます。 (2021年1月1日 13時) (レス) id: d61ed9781e (このIDを非表示/違反報告)
はる - 更新応援してます！！頑張ってください！ (2020年6月3日 16時) (レス) id: 1d6fa76e88 (このIDを非表示/違反報告)
椋羽 - 続きの更新お願いします。 (2020年4月11日 1時) (レス) id: 66e72a95d0 (このIDを非表示/違反報告)
かの(プロフ) - 絽梛さん» 返信が遅くなってしまい申し訳ありません…。頑張ります…！ (2020年3月14日 11時) (レス) id: 387ee06ba6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：かの x他1人 | 作者ホームページ：
作成日時：2020年2月15日 21時
