【文豪ストレイドッグス】シャチはイルカを食べるのだ

シャチは探偵社を所望する6 ページ35

私こと織田作之助は江戸川乱歩の相棒(バディ)になった。なんでだ。
いや、別に良いのだが。むしろ乱歩さんも好きだったし(一番は当然織田作だけれど)、というか文ストキャラ全員好きだから何も問題はないのだが、どうにも腑に落ちない。

(私が乱歩さんに何かしたか？)

強いて言うなら嘘を吐いた。嫌われたかもしれない、とは考えたが、まさか相棒になるとは。それも乱歩さんたっての希望らしい。社長からは「嫌になったら言え」と言われてるけれど、むしろ私なんかが乱歩さんの相棒でいいのか、という感じだ。
織田作ならまだしも、私は元々一般人なのに。



・




織田作入社後、何ヶ月かが経った探偵社にて。

「あの国木田さん、織田作さんってご結婚されてるンですか？」

谷崎のこの一言で探偵社は盛り上がっていた。

「織田作に妻がいる、という話は聞いたことがないな。何故そう思ったのだ」
「ナオミがこの前、子供用のおもちゃや駄菓子を抱えているのを見かけたそうで。お子さんがいるのかなー、と」
「妾(アタシ)もそんな話は聞いたことないね。それに、あの織田作に女の影があるものか」

与謝野も会話に加わり、色々な憶測が飛び交ったが、結局織田作に女の影が無いことから、『それは乱歩さん用のお菓子である』と結論付けられた……かに思われた。

江戸川乱歩が、探偵社に帰ってきた。

「たっだいまー！ 皆揃いも揃って何の話をしてるの？」
乱歩の質問に谷崎が答える。
「織田作さんの話です。以前ナオミが、織田作さんがお菓子と子供用のおもちゃを大量に購入してるのを見かけたので、織田作さんは奥さんやお子さんがいらっしゃるのかなー、と」
「結局、乱歩さんへの貢物じゃないかって結論になったンだよ」
「ええ、違うよ。僕なんにも貰ってないもん」
乱歩は与謝野の言葉を否定した。
「えっ、じゃあナオミが見たのは……？」

「普通に考えて、子供達の為じゃないの？」

探偵社内にいた全員が「えっ」と声を上げながら乱歩の方を向く。

「……何さ、僕なんか言った？」
「ら、乱歩さん、織田作さんて子供がいらっしゃるンですか！？」
谷崎が全員の心を代弁する。
「いるよ？ 何を今更」
乱歩は当然のように答える。
「まあ嘘だと思うなら本人に尋ねてみなよ。そろそろ来るから」
乱歩がそう言った数秒後に、織田作は姿を現した。

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