52、とある訪問者 ページ14
Aside
一度前線が落ち着いたから、気分変えがてらにとロボロさんに散歩を勧められ、今は城内を散策していた。
それにしても、ほんとうにこの城はギミックやら悪戯が多すぎる。観光客がノーダメージで通り抜けるのは、相当困難に見える。
例えば、窓から侵入を試みたとして。
窓を開けた瞬間、前から矢が降り注いでくる。
たとえ避けたとしても、後ろに重心が傾き転落。
侵入する人は、大怪我を伴う覚悟が必要と言うことである。
凄いなぁ、と感心しつつ、廊下を歩いていたその時だった。
ガタリと窓が開き、紫のストールを纏った人が窓に着地する。
仕掛けも全てよけ、「相変わらず厄介やんなここ、」なんて他人事のように言ってのけるその人は、侵入者だろうと思っていた。
『動くな！！！』咄嗟に拳銃を向け、発砲の体制を取れば、その紫のストールの人は、焦ることも無く両手を上げた。
余りにも抵抗がないので私が目をぱちくりとさせれば、「…あ、グルッペンの言ってた女の子ってこの子か。」なんて独り言までいう始末。
『だ、誰だ！！』拳銃を向けたまま聞けば、紫のストールの人は、「…この場合なんて答えるべきなんやろう…」なんて首を傾げている。
すぐに答えられないなら、観光客も当然。
私が引き金を引こうとしたその時だった。
「おわっ！！！兄さん！！！」と言うトントンさんの声が聞こえた。
に、兄さん？と私がしどろもどろしてる内に、紫のストールの人は、城内に入ってきて、トントンさんに向かっていく。
「兄さんなぁ…来るなら来るっていいや。Aちゃん驚いてもてるやん。…ごめんなAちゃん。紹介し損ねてたな。こいつがあと一人の幹部、だいたい各地に偵察に行っててほぼおらんけど兄さんていうねん。」
トントンさんに紹介されたその人は、「どうも」なんて頭を下げる。
『そ、そうとも知らずにご無礼を…ごめんなさい！！』慌てて拳銃をしまい、謝れば、兄さんさん(?)は「いやいや。言わんかった俺も悪いわ」お愛顧やでなんて頭を撫でてくれた。
本当に優しい人ばかりだなぁ。
優しい人たちなのに、戦争はこんなに強いのってすごいなぁ…(幼稚園児の感想)
しばらく話していると、インカムからロボロさんの「すまん。戻って来れる！？」という急ぎの通達で、私は急いで戻る。
兄さんの
「あの子、めっちゃ強いな。」なんて声は、私には聞こえなかった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 962人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「d!」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
杠葉 - 初めまして、とても素敵な作品でした…！占ツクの小説で初めて泣いてしまいました。これから全力で応援させて頂きます…！ (2022年1月22日 3時) (
レス) @page40 id: 2d4f53e34e (このIDを非表示/違反報告)
雲雀(プロフ) - ネイトさん» 了解です！リクエストありがとうございます！！ (2020年12月29日 4時) (レス) id: 4aed07b718 (このIDを非表示/違反報告)
ネイト - 雲雀さん» なるほど！ありがとうございます！リクエストが「帰った後にみんなに説教される」みたいな感じなのってお願い出来ますか？ (2020年12月29日 0時) (レス) id: 58c935ec98 (このIDを非表示/違反報告)
雲雀(プロフ) - 月宮さん» 月宮さん、コメントありがとうございます！これからも精進して行きますゆえ、続編も楽しんでいただけると幸いです！ (2020年12月28日 20時) (レス) id: 4aed07b718 (このIDを非表示/違反報告)
月宮 - 完結おめでとうございます！続編も楽しんで見させて頂きます！これからも頑張ってください。 (2020年12月28日 20時) (レス) id: a0f47df358 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：雲雀 | 作成日時：2020年12月4日 2時
