37.悪魔な救世主。 ページ37
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私は相変わらず慎ちゃんに抱き締められたまま。
どのくらいの時間が過ぎたんだろう？
実際そんな経ってないだろうけど時間の感覚がなくなるほど混乱状態でよく分からない。
慎ちゃんは酔っぱらうと面倒臭いって�眞呂気鵑�言っていたけどこういう事だったんだ。
その事を今更思い返しては納得する。
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玄関からドアの開く音がした。
これは松村さんが帰ってきたんだと予想。
やばい。
今のこの状態を見られるのは流石にまずいよね？
そう思って慎ちゃんの腕からすり抜けようと頑張ってはみたけど男の人の力には到底叶うはずもなく、諦めるしか手段がなかった。
足音がどんどん近付いてくるのが分かって
心臓が破裂しそうなほどドキドキする。
「あっ、松村さん……」
ほら、やっぱり。
私の予想的中でリビングに入ってきた松村さん。
今、この瞬間バッチリ目が合ってしまった。
助けてください...！と目線で松村さんに訴えるように彼を見るとそれが伝わったのか、
「慎太郎、何をやってんだよ」
と面倒くさそうに言いながらも、慎ちゃんの腕を強引に持ち上げ、私と引き離してくれる。
あー良かった、救世主だ。
「あの、ありがとうございます」
「…。」
松村さんは私のその言葉に対して何も言わず、慎ちゃんを近くのソファに寝かせる。
「松村さん、なんかすみません」
黙ってるし、怒ってる…？
素直にここは謝っておこう。
その場に立ち、松村さんに向かって頭をペコッと下げる。
「あのさ、」
松村さんが私の目を見て険しい表情。
「はい、なんでしょうか」
「アンタ、隙ありすぎなんじゃない？」
「....え？」
「そんなんだから簡単に男に手出されんだよ」
そう言い、馬鹿にしているかのように口角を上げた。
「それってどういう事ですか？！」
「そのままの意味だよ。馬鹿なの？」
「…なっ！」
それ以上何も言い返せない私を見て、
満足そうにフンっと鼻で笑った彼は洗面所の方に行ってしまった。
男に手を出されるって…ここの住人のこと？
って、それ絶対田中さんの事だ。
朝のこと…誤解されてる？
でもこの感じは間違いなく誤解されてる気しかしない。
本当に違うのに…！
救世主だとか思ってしまったけど
松村さんはやっぱりただの悪魔なのかもしれない。
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作者名：つくね
| 作成日時：2021年5月26日 15時
