恋敵は強敵揃い(e) ページ45
色んな事に後悔しているとコンコン、と扉が叩かれて大袈裟なくらい肩が跳ね上がった。
「エーミール様、給仕です。大変遅くなり申し訳ございません」
「どうぞ、入っていいですよ」
思ったよりも普通の声音に少し面食らう。そのまま入って貰うように声を掛けると何事も無かったような顔の給仕さんにべったり張り付いたゾムさんがこっちを見てニヤニヤと笑っていた。
「ゾムさん……何でおるんですか……」
「ﾁｯｽﾁｯｽ！給仕君と仲良うなってな！」
えぇ、見てましたよ。一瞬だけですけどね！
例のシーンを思い出してしまって心の中は悔しいやら羨ましいやらでめちゃくちゃだ。
それを目敏く察したのか、ゾムさんは更に笑みを濃くした。
「なんやエミさん、見とったんか。覗き見で興奮するとか童貞らしいっすわ」
「あれだけ派手に暴れてたら誰でも分かると思いますけどね」
思ったよりも棘を感じる自分の言葉にどれだけ苛立っているかを突き付けられる。
「まぁエミさんにはこんな事できひんもんなぁ？」
「っ、ゾム様……！」
ゾムさんは給仕さんの顎を掴んだと思うと後ろへ向かせ、そのまま俺の目の前で唇を奪ってしまった。
「なっ……ゾムさん！嫌がってるでしょう！離れな……さい！」
無理やりゾムさんから給仕さんを剥がしてもう奪われないようにしっかりとその肩を抱いた。
見た目は華奢な身体付きをしているが、手のひらに感じたのは今まで思い描いていた女性的な柔らかさではなくしっかりとした男性の身体で困惑してしまうが、すっぽりと俺に覆われるサイズ感といい抱き寄せた時に香ったいい匂いにこんな状況ながらときめいてしまった自分がいた。
「おまっ、なにちゃっかり抱き込んどんねん！」
「取られる方が悪いんですよ。大丈夫でしたか？」
「ええ、はい。大丈夫です」
あっけらかんと答える給仕さんに色々心配になる。何とも思ってない……とか？
俺達のやり取りを見て怪訝そうにも面倒臭そうにも見えるその表情の奥には何を思っているのだろう。
「そいつ俺のお気に入りにしたから。手ぇ出したらタダじゃ済まさんぞ」
「給仕さん喫煙室戻りましょうか。あそこはゾムさん来れないんで」
「お前卑怯やぞ！！」
ぎゃんぎゃん叫ぶゾムさんに応戦しながら、ゼロ距離になった給仕さんをまだ感じていたくてそっと抱き込める腕に力を入れた。
あぁ、暖かい。給仕さん、ごめんなさい。もう少し、もう少しだけこのままでいさせて下さい。
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加藤(プロフ) - 花緑青さん» しております！が抜けてました・・・ﾊｽﾞｶｼｲ (2019年8月23日 4時) (
レス) id: 55ae45cac2 (このIDを非表示/違反報告)
花緑青(プロフ) - 加藤さん» 加藤様コメントありがとうございます！直球の告白有難く受け止めさせて頂きます。まだまだ酷暑が続きますので加藤様もお気をつけてお過ごし下さい。 (2019年8月21日 12時) (レス) id: 02ce914128 (このIDを非表示/違反報告)
加藤(プロフ) - す、好きです！！！！！！癒しをありがとうございます！！！！お体にお気をつけて！更新も楽しみに！！！ (2019年8月21日 6時) (レス) id: 55ae45cac2 (このIDを非表示/違反報告)
花緑青(プロフ) - ねむるさん» ねむる様コメントありがとうございます。某イルカはWindowsの何かのツールで出てきたコンシェルジュ的なキャラクターですね。｢お前を消す方法｣などで調べると画像が出てくると思います。給仕君を気に入って頂きありがとうございます！きっと彼も喜んでいると思います (2019年8月20日 21時) (レス) id: 02ce914128 (このIDを非表示/違反報告)
ねむる(プロフ) - 男主くんの設定すごいすきです...。某イルカのオマージュ分からくて地元の水族館のイルカ出てくるCM思いつきました() (2019年8月20日 20時) (レス) id: f070b83cbf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：花緑青 | 作成日時：2019年8月16日 8時
