食害被害災害 ページ26
ゾム様が戻ると皿には零れんばかりに料理が山盛りに盛られていてヒクリと頬が引き攣った。
「遠慮せんと食べるんやで!!給仕君ほっそいからなぁ?まだまだ食えるやろ?」
「あっ、私少食でして……」
「ま だ 食 え る や ろ ?」
「……はい」
本当に拒否権などないらしい。できるだけ表情を変えないように心掛けながら、盛られた料理を取り分け口へ運んでいく。
最初はあんなに美味しかったステーキは恨みをスパイスにされたのが心外だとでも言うように重々しく胃袋を埋める。
片付けてもゾム様の手により再び標高を取り戻す食材の山に、目から光りが無くなっていくのが自分でもよく分かった。
やはりこれは新人いびりなのだろうか?立派な、紛うことなきパワハラを胃に詰められて眉間に寄った皺も戻せない程だった。
「あーあー、ゾム見てみぃ?給仕君えらい顔しとるで?給仕君それこっちに寄越し?俺食べたるから」
見兼ねた俺を助け舟を出したのはロボロ様だった。
あの身体のどこに入るのかは理解出来ないが、初手の配膳でも相当な量を食べていたはずだ。
だが自分の胃がキャパオーバーを訴えていて取り返しがつかなくなる前にロボロ様へ引き渡す事を決めた。
「すみませんロボロ様……気を使って、頂き感謝いたします……ぅっ……」
小さくえずきながら席を立ち、皿をロボロ様の前に持って行くと今までと変わらぬスピードで料理が消えていきロボロ様も相当な大食漢である事を知った。
「給仕君、よう覚えとき。これがゾムの食害や」
「食害……?」
「こいつ腹一杯やって言うてるのに更に食わせてくるのが好きでな……給仕君よお頑張ったな」
ロクでもねぇな。
鬱様と書記長様が頑張りを労ってくれるがそんなことで胃の消化が早まる訳でもなく、過労に震える胃袋を哀れんでそっと撫でた。
当のゾム様はニヤニヤと心底楽しそうな笑みを浮かべ、ご自身も相当な量の食事を楽しんでいた。
「給仕君もっと食わなあかんで?」
箸を持ってない手でゾム様に頭をわしゃわしゃ撫でられてしまったのが本日のナンバー1不愉快エピソードだと言っておこう。
825人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「wrwrd」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
加藤(プロフ) - 花緑青さん» しております!が抜けてました・・・ハズカシイ (2019年8月23日 4時) (レス) id: 55ae45cac2 (このIDを非表示/違反報告)
花緑青(プロフ) - 加藤さん» 加藤様コメントありがとうございます!直球の告白有難く受け止めさせて頂きます。まだまだ酷暑が続きますので加藤様もお気をつけてお過ごし下さい。 (2019年8月21日 12時) (レス) id: 02ce914128 (このIDを非表示/違反報告)
加藤(プロフ) - す、好きです!!!!!!癒しをありがとうございます!!!!お体にお気をつけて!更新も楽しみに!!! (2019年8月21日 6時) (レス) id: 55ae45cac2 (このIDを非表示/違反報告)
花緑青(プロフ) - ねむるさん» ねむる様コメントありがとうございます。某イルカはWindowsの何かのツールで出てきたコンシェルジュ的なキャラクターですね。「お前を消す方法」などで調べると画像が出てくると思います。給仕君を気に入って頂きありがとうございます!きっと彼も喜んでいると思います (2019年8月20日 21時) (レス) id: 02ce914128 (このIDを非表示/違反報告)
ねむる(プロフ) - 男主くんの設定すごいすきです...。某イルカのオマージュ分からくて地元の水族館のイルカ出てくるCM思いつきました() (2019年8月20日 20時) (レス) id: f070b83cbf (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:花緑青 | 作成日時:2019年8月16日 8時