怪物屋の半妖娘 (ページ21)

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5-2話ページ21

着いたのはきれいな泉。

隠神さんが腕をつければ毒が溶け出し傷も治る。

「お願い、何も聞かずに力を貸して」

必死な少女の訴えを隠神さんは聞き入れた。

走り出した足が止まる。

「Aちゃん？どうしたの？」

(怪物の気配が２つ…水生の怪物か？)

『いや、何でもない』

色々気になりはしたが織たちが心配で再び走り出した。

「待って！」

「アヤ！どうしてここにいる！森に入るなと言っただろう！」

少女が現れると急に男が取り乱し始めた。

この子には何かしら知られたくない、手元に置いておきたい事情があるらしい。

2人の会話には繭、という言葉が何回も出てくる。

「私が何者かはまだ言えない。言えばきっと貴方は私を許さない。…そうね、繭を取り戻した後なら教えてあげてもいいけど」

「なら、依頼内容はその繭の捜索でいいかい？」

そう言ったかと思えば隠神さんがスマホを取り出す。

電話の相手はミハイさん。つらつらと男の情報を並べていく。

その一つに心当たりがあまたのだろう、少女が走り出しその後を織が追う。

「アヤ！行くな！やめろー！」

2人を止めようとする男を夏羽くんが止める。

『水芭蕉ってさっきの泉にも咲いていましたよね？』

「そうだったな」

全員で2人の後を追う。男が逃げないように夏羽くんが引きずりながら走る。