恋は戦争【TH×You×JK】

12.Your side ページ12

バイト帰りのコンビニ、
新発売のチョコレートを選んでいると、
レジの店員さんがキャッキャ言いながら
話している声が聞こえてきた。





「今日も来てるよ、あのイケメン」




「彼女待ってるのかなぁ。ねー声かけてみる?」




「無理無理!相手にされないって!」




イケメン。

ふっとあの人の顔がよぎって、
とくんと心臓が鳴った。




あれから一週間、
誰かと夏らしいことを謳歌するわけでもなく、
バイトと家の往復しかしていない私。
夏休みは思い出す時間が多すぎて、辛い。



店員のお姉さんからレジ袋を受け取って
コンビニを出ると、




「あ!」




『え?』




ガードレールにもたれ掛かった男性が、
私を見つけるなり、小走りで駆け寄ってきた。





「A」



『テ…テヒョン先輩…?』





金髪から黒髪になっていたから
一瞬誰か分からなかった。




パーマで緩くウェーブがかかった黒髪と、
先輩の狼みたいな三白眼が化学反応を起こして、
とんでもない色気を放っている。




「ごめん、俺本当…」





『とりあえず、歩きませんか?』





コンビニの店員さんが興味津々
でこっちを見ているのが耐えられなくて、
先輩の返事を聞くまでもなく歩き始めた。





「待ち伏せ、引いた?」




『私がここのコンビニ来るって知ってたんですか?』




「えっと…見かけたって人がいて」




すごい情報網。
先輩レベルともなると、
知り合いも多いんだろう。



それにしても声がボソボソと小さくて、
うまく聞こえない。




振り返ると、少し離れた場所で、
伏し目がちにモゴモゴいってる先輩がいて、
その可愛さに吹き出しそうになった。




もう。




なんだこの不器用な生き物は。






やだなぁ。私。
怒ってたのに。





「ごめん、ごめんね。夏休み始まったばっかだから。2ヶ月くらい会えないままだから…どうしても謝りたくて」




『なんでキスしたんですか』




「ゴメンナサイ」




『からかってたんですか?それとも、大人な関係のお友達にしたかった?』




「うーんと。神に誓ってそうゆんじゃなくて。言っても信じてもらえないから今は、言えないんだけど…」




『…それってつまり、私に好意があるってことですか?』




顔を上げて目をまん丸くした先輩。




「…なんでそんなズバッといっちゃうの」




『可愛くなくてすみません』




先輩があまりにもしょぼくれた顔をするから、
思わず笑ってしまった。

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