最低な同居人【JK】

・ ページ33

電車に乗って、
最寄り駅のコンビニでアイスを買って、
支払いの後、また手を出すと、
当たり前のように繋いでくれた。






多分俺は今、ジンヒョンに見られたら
からかわれるような顔をしてるんだろう。





でも、Aの手だって相変わらず熱いし、




空はもう墨をこぼしたみたいに真っ暗になって、
一番星だか二番星だかも光ってるわけで、
この顔だってきっとバレやしない。






『ジョングク、飲んでたんでしょー。人が労働してる時に』






「落ちこぼれの誰かさんが居残りさせられるっていうからね」






『それはごめんなさいですね』






「この近くに…行きつけのバーがあって。ヒョン達がみんな良い人で」







『行きつけのバー!生意気すぎる!笑』






「こ、今度…」







『ん?』







「今度、Aも連れてこいって」







『私を?』







真ん丸な目で俺を見るA。




今、何を考えてるんだろう。








聞かれてもないのに、





別に深い意味なんてないからねとか




ヒョン達が、同居人に興味津々なだけだから、とか






ヒョンのご飯は美味しいから習えばいいとか





言い訳ばっか並べる俺は、滑稽だろうか。










嫌だなとか、面倒くさいとか思われてたら…










『ええー、うわぁ。楽しみすぎる!いいの?』









「え」






ぎゅっと手を握られて、
ちぎれんばかりにブンブン振り回された。






『ああいう店って常連さんが多くて入りにくいからあんまり行ったことなかったんだ!楽しみー!』








「…」







『でもさ、1杯が目ン玉飛び出るくらい高かったりするんだよね?!あと、カクテルの名前ほとんど知らないんだよ私。恥ずかしいから、頼んだらイケてるなって思われるようなカクテル事前に教えてくれる?!』







「プッ…なに、それ」







こんなことで、はしゃぐAが可笑しくて、
吹き出した。







良かったって、ほっとした気持ちと、





まるでサンタのプレゼントを
心待ちにしてる子供みたいな
綻んだ顔が可愛いと思ってしまって。








「本当に深い意味はないからね。勘違しないでね」








『はいはい、だからタイプじゃないってば』








「ふーん、じゃあ、なんでそんな顔真っ赤なの?」








『だってさっき、ジョングクが…可愛く笑うから』








「あっそ。タイプじゃないのに?」









顔を覗き込むと、
Aが、さらに顔を赤くした。

・→←・

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す