その太陽に手が届きそう【煉獄 杏寿郎⠀】

76話 side 煉獄 杏寿郎 ページ28

お風呂から脱衣所に出て、体を拭いて、スーツに着替える。

思いっきり髪の毛をタオルドライすると、いつものようにハーフアップにして出来上がり。

整ったところで自分の頬をバシンっ！！と両手で叩いた。



煉獄「よもや、よもやだな！！！！！」



俺は一体何を！？
ただ危ないと思って身体を引き寄せたのに、まるで今から襲わんばかりの格好になってしまい･･･

さらには胸に顔を沈めるAさんが、

･･･顔を上げたあの瞬間の 恥ずかしそうに俯くその顔に、

そして、胸元が少し見えてしまったが為に。



こう･･･ムラっと･･･来たのは誰にも言えない。



取り繕うことも出来ずに、素早く風呂場へ来たのは良かったが、Aさんに申し訳ないことをしたな。



煉獄「全く不甲斐なし！穴があったら入りたい！！！！」



叩いたせいか、それとも思い出したからなのか、赤くなった顔が鏡に映り、余計に不甲斐ない。

大丈夫だ、自身は落ちつている訳だから、何も気にする事はない。

いつものようにAさんに話しかければいいのだ。

なんてことはない、杏寿郎！しっかりするんだ。



慎寿郎「朝から何をやっている？」



不意に扉が開いて父上と目が合った。



煉獄「ち、父上！あ、いえ･･･これは、その。」

慎寿郎「･･･Aさんは、今日病院に行くんだろう？」



小さくため息をついた父上は、眉間に皺を少し寄せてそう言った。

あぁ、そうだった。
また連絡をするように伝えておかなくては。



煉獄「ありがとうございます父上。すっかり忘れていました。」

慎寿郎「フッ、Aさんとの先を考えるのなら、目先の問題を解決しろ。全てはそれからだ。違うか、杏寿郎。」

煉獄「父上･･･、ありがとうございます！！！」



父上はこれだけ言うと、精々頑張りなさい。
とさらに言葉を置いて、居間の方へと行ってしまった。


鏡で自分の顔をもう一度見て･･･ふむ、なるほど、父上には何を思ったのかバレてしまったようだ。



煉獄「俺もまだまだだな！まずは、目先の問題を･･･Aさんもそう思っているだろうからな。よし！大丈夫だ！！！」



自分自身に向けて溌剌と言い放って、脱衣所の扉を開けると、恥ずかしそうにタオルで顔を隠したAさん。


その人がそこに居た。


よもや！！！！！？？？？？






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