その太陽に手が届きそう【煉獄 杏寿郎⠀】

68話 ページ20

『私、1人じゃなくて竈門さん家族にも、藤花さんにも沢山迷惑かけて･･･それでここまで。私なんて、全然』

煉獄「育児とは周りの手を借りてこそだと俺は思う。
夫婦でも、片親でも変わりない。
君は両親を亡くしていると話していたな。
だからこそ、竈門夫婦も藤花夫婦もきっと君を家族のように思っているのだろう、藤枝さんが･･･旦那･･･の元を出たおかげで出会えた家族だ。
その家族に触れて、そして君の優しさに触れて燈寿郎は思いやりのある素直な良い子に育った。
これは君だから出来たことだ。"私なんて"と言ってはいけない！！」

『そう、でしょうか･･･』

宇髄「そりゃもう派手にな！俺たち教師なんだぜ？説得力あんだろうが。で、んな元旦那･･･まさか今でも好き･･･なんて、言わねぇよな？」



真剣な顔で私を見ながら、箱ティッシュをこちらに差し出す宇髄さん。

受け取って、涙が出てるんだと気がついた。

煉獄さんの方を見たら、彼は少し眉を下げて寂しそうに見える。



『私、もう分からなくて･･･
離婚届と知らずにサインしました。
捨てられたと分かったのに、お金を取りに来る彼にもしかして未練があったのか･･･今はただ、怖いです。
竈門さんの家にお世話になっている時も1人で出掛ける時に彼は来て、お金を持っていきました。
暴力を振るわれることもありました。
迷惑をかけたくなくて今の家に移りました。
炭十郎さんは移らない方がいいって言ってくれたのですけど、痣だらけなのを見られたくなくて、嫌われたくなくて･･･怖くて。私。』



カナエさんが握る私の手にギュッと力が入ったと思ったら、今度は背中全体が温かくなって怪我してる腕も温かくなった。



煉獄「誰も嫌わない。俺は、ここにいる俺達は誰も嫌わない。もちろん藤花さんも竈門夫婦もだ！･･･俺は君達2人を幸せにしたいんだ！！」

『でも私、不幸を呼ぶって彼に･･･言われて、』

宇髄「はァ！？そいつ頭おかしいんじゃねぇか？」

カナエ「不幸を呼んだのは彼の方よね〜？」

煉獄「その通りだ藤枝さん！その男の言葉に囚われている必要は無い！何度でも君に言おう！！君は俺が幸せにする！もう、安心だ！！！」




むん！と胸を張って腕を組む煉獄さんは

どこか遠くを見ているようだけど

その言葉にはいつだって嘘偽りがない。





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