1.4cm ページ6
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「だって、誕生日も祝ってくれるし、よく色んな所に誘ってくれるし……とっても、優しいから……だからきっと、皆に人気者なんだろうな、って……」
fkr「違うよ」
違う、違う。俺は君にそんな、悲しい顔をさせたかったんじゃない。
ただ、見てほしかった。仲の良い友人じゃなくて、ちゃんと男として見てほしかった。
ただ、それだけ。
fkr「俺がこんなにも優しくしてるのは、兎堂さんだけだよ」
「え……」
fkr「……本当はもっとちゃんと準備してから、言いたかったんだけど」
ここまで言ってしまったら、流石の鈍感な兎堂さんも、気づくことだろう。
だったらいっそ、勢いに任せて全て言ってしまえ。
そしてそのまま―――砕けるなら、粉々になるまで、砕けろ。
fkr「―――兎堂さんが、好きです。僕と、付き合ってくれませんか」
こんなにも真剣に誰かに告白したのは、高校の時以来だった。
あの頃は「タイプじゃない」と心の準備をする間もなく一刀両断されて、悲しむ暇もなくて。
でも、時間が経つと、じわじわと悲しみが襲ってきた。それがどうしようもなく、辛かった。
だけど今はもう違う。心の準備も出来てるし、差し出した手を取ってもらえない未来だって、ちゃんと考えている。
「―――……はい、喜んで」
……考えて、いたのだが。どうやら今回の俺に、そんなことを考える必要は無かったらしい。
差し出した右手が小さな両手に包まれて、弾かれるようにして勢いよく顔を上げる。
未だに事実が呑み込めず固まった俺の前で、ムードもなにもない告白を受けてくれた兎堂さんは、笑っていた。
その笑顔は半年間友達という関係を続けてきて、初めて見た、自然な笑顔だった。
そして、思ったんだ。あぁ俺、この子の笑顔を、この先も、もっと見てみたい―――。
―――確かに出会いも始まりも、実によくある普遍的なもの。
だけど彼女が居れば、俺の目には全て、色鮮やかに見えたんだ。
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白菜(プロフ) - SALTさん» いえいえ、私なんてまだまだぺーぺーなので見つけられなくて当然です。こんな数ある作品の中から私の作品を見つけてくださっただけでも光栄です。fkrさんの小説は他の方もかなり面白いお話を書かれてるので、是非探してみてください!コメントありがとうございました! (2021年4月2日 17時) (レス) id: 367472b3a3 (このIDを非表示/違反報告)
白菜(プロフ) - 花蓮さん» ありがとうございます! (2021年4月2日 17時) (レス) id: 367472b3a3 (このIDを非表示/違反報告)
SALT(プロフ) - 白菜さんの作品を見ながらなんでこんな神作者様と神作品を見つけることが出来なかったんだろうとorz←の形でコメ打ってます((問打の方々ではあまり見ない方の小説でしたが面白かったです!遅くなっていますが完結おめでとうございます(*´ω`*) (2021年3月30日 10時) (レス) id: 17a3f4fea4 (このIDを非表示/違反報告)
花蓮 - 本当に素敵なストーリーでした!福良さん… (2020年9月27日 21時) (レス) id: b11d0cfa2b (このIDを非表示/違反報告)
和奏(プロフ) - 白菜さん» そうなんですね(笑)一言一句漏らさないように読んでいたのに(ストーカーかよ)興奮のあまり見逃していたのかと思いました…実は太田さんの方の「おまけ」を見て読み直したくなったんです…。あ、因みに私、2回目どころじゃないと思います、なんなら暗唱できます(やめろ) (2020年9月6日 21時) (レス) id: ea0b227b7d (このIDを非表示/違反報告)
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