1.3cm ページ5
.
fkr「……困ったなぁ」
この子を今のままにしておいたら、いつか変な男に捕まりそうな気がする。それは俺としても困る。
そこまで考えて、俺は首を捻った。
……俺としても、困る?なんで?
彼女は確かに大切な友人であったが、彼女がどんな男を好きになろうと、それは全て兎堂さんの勝手な気がする。
変な男に捕まって悲しむ姿は、そりゃ見たくはないけど。結局は相手の人生だとあまり干渉しないのが俺のやり方だった。
……なのに今は、彼女の隣に誰かが居るのが、許せない自分がいる。
fkr「……ほんとに、困ったな」
「んー……?」
あぁ、そうか。今嫌だって思ってるのは、誰かに彼女を取られたくないからだ。
こうして心を許すのは、俺だけであってほしい。
ぴったりとくっつくのも、俺だけであってほしい。
誰か男の家に上がるのも、俺だけであってほしい。
危機感を解くのは、俺の前だけであってほしい。
そんな独占欲が、俺の中にあるからだ―――。
fkr「兎堂さん、駅前に新しくできたお店、一緒に行ってみない?」
fkr「兎堂さん、おはよ!」
fkr「一人は流石に危ないから、一緒に帰ろ」
fkr「……休日、二人でどこか出掛けない?」
男の嫉妬とかそういった感情は醜いという。だが俺は確かに、その感情に背中を押してもらった。
自分が彼女に対してそういう感情を抱いていると知った日から、俺は極力彼女と連絡を取り合うようにして、大学内で顔を合わせる機会があったら柄にもなく声を張って挨拶をしたりした。
少しでも、彼女に近づきたかった。
まだ誰も入ったことがない心の奥まで、入ってみたかった。
「……福良さんって、モテそうだよね」
fkr「え、なんで?」
我ながらその頃の俺は、実に健気だったと思う。
友人から教えて貰った彼女の誕生日には分からないなりに買ったプレゼントを渡した。
休日も暇だったら必ず彼女をどこかに誘った。
長期休みは勇気を出して旅行にも行った。
出来る限りのことは、やっていた。
そんな時、大学の帰り道で、ポツリと彼女がそんなことを呟いた。
→
868人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「QuizKnock」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
白菜(プロフ) - SALTさん» いえいえ、私なんてまだまだぺーぺーなので見つけられなくて当然です。こんな数ある作品の中から私の作品を見つけてくださっただけでも光栄です。fkrさんの小説は他の方もかなり面白いお話を書かれてるので、是非探してみてください!コメントありがとうございました! (2021年4月2日 17時) (レス) id: 367472b3a3 (このIDを非表示/違反報告)
白菜(プロフ) - 花蓮さん» ありがとうございます! (2021年4月2日 17時) (レス) id: 367472b3a3 (このIDを非表示/違反報告)
SALT(プロフ) - 白菜さんの作品を見ながらなんでこんな神作者様と神作品を見つけることが出来なかったんだろうとorz←の形でコメ打ってます((問打の方々ではあまり見ない方の小説でしたが面白かったです!遅くなっていますが完結おめでとうございます(*´ω`*) (2021年3月30日 10時) (レス) id: 17a3f4fea4 (このIDを非表示/違反報告)
花蓮 - 本当に素敵なストーリーでした!福良さん… (2020年9月27日 21時) (レス) id: b11d0cfa2b (このIDを非表示/違反報告)
和奏(プロフ) - 白菜さん» そうなんですね(笑)一言一句漏らさないように読んでいたのに(ストーカーかよ)興奮のあまり見逃していたのかと思いました…実は太田さんの方の「おまけ」を見て読み直したくなったんです…。あ、因みに私、2回目どころじゃないと思います、なんなら暗唱できます(やめろ) (2020年9月6日 21時) (レス) id: ea0b227b7d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ