階級・甲の癸さん拾陸

740話　鬼舞辻side ページ46

鬼舞辻「はぐれ鬼？」



千雨「そうそう、時々現れるんですよね。」



…あれから何故か私の所に普通に現れるようになった夕凪千雨。



夕凪千雨の話によると、陽に当たることが出来、人と同じようなものを食すことの出来る鬼が存在するらしく…その鬼のことを「はぐれ鬼」と言うらしい。



千雨「僕が鬼と人間は共存出来ると思っているのは根拠がないわけではないってことですね！」



鬼舞辻「…そうか。」



陽に当たることが出来るなど、私が目的としていることではないか。



どうやってそれが出来た…どう存在している…それによって、私は完璧に…



千雨「だから、鬼舞辻さんも…いずれ人間と共存出来ますよ。」



鬼舞辻「望んでいない。」



千雨「死んだ父の願いでもあるんですよ、それが。」



静かにそう告げ、悲しげに空を見上げる。



千雨「今度はぐれ鬼の子にも会わせてあげますね！」



鬼舞辻「結構だ。」



千雨「酷くないですか其処は受けよう？？」



頭を抱え、悲しんでいるのを意思表示するようにしている。



…私はきっとこの少女を、千雨を、春姫に重ねている。



出来るはずもない鬼と人間の共存を夢見る…この少女を。



鬼舞辻「…顔は似ても似つかないがな。」



千雨「あっれ、急に暴言吐かれた気がするな？？」



鬼舞辻「残念だな。」



千雨「言われ慣れてますが！？一人っ子の割に親の血を継がなくてすみません！？」



…だが、一緒に居て悪い気はしないな。

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