階級・甲の癸さん拾陸

736話　鬼舞辻side ページ42

鬼舞辻「…人間は骨などが残るんだったな。」



まさか、春に出会って春に別れることになるなんて思いもしなかった。



…思えば、春姫と何か有る時はいつも春だったように思える。



春に出会い、春に付き合い始め…求婚したのも春だった。



…全てが春だからこそ、別れも春だと言いたいのか？



鬼舞辻「…っ…ふ…皮肉なものだ…。」



鬼と人間は共存出来ない…か。



雪宮麗美…貴様はそれを、行動に移してまで教えたかったのか？



どんな仕打ちをしてまでも、自分を友と言って変えることのなかった春姫を殺してまで…



鬼舞辻「…見つけ出して、殺してやろう。」



春姫が味わった痛みよりも…ずっと、ずっと…痛く、苦しく。



…結局、春姫の腹の子さえも、助かることはなかった。



私から全てを奪った。



鬼舞辻「…私が完璧であれば、何かが違っていたのだろうか。」



私に弱点がなければ…春姫は、死ななかったのだろうか。



春姫を…守ることが、出来ていたのだろうか。



鬼舞辻「…鬼である私は、幸せになることも許されないのか？」



鬼を増やしたのも、多くの人を殺したのにも、代わりはない。



それても…春姫と居られるのなら、全てを捨ててもいいとさえ思えたのに。



鬼舞辻「…春姫…すまない、私のせいで…」



…もし、あの時手放していれば。



十九と言う若さで命を落とすことなどなかったのか。



…私のせいで…お前は、死んでしまったのか。



鬼舞辻「…本当に…すまない、春姫…。」

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