階級・甲の癸さん拾陸

723話　鬼舞辻side ページ29

鬼舞辻「春姫、鬼にならないか？」



春姫と「恋仲」と言う関係になってから一年程度が経った。



私の腕の中に居る(と言うか無理矢理腕の中に閉じ込めた)春姫に問い掛ける。



春姫「え、鬼ってなれるものなんですか？」



…そう言えば、話したことがなかったか。



鬼舞辻「私の血を与えればなる。」



春姫「知らなかったです…。」



驚いた顔をしながら私を見上げる。



…春姫は泣き顔は一度しか見せたことがないが、後は表情豊かだ。



春姫「無惨さんって何でも出来るんですねぇ、姿を変えることも出来るし…。」



一度女の姿や子どもの姿を見せた時、目をきらきらさせながら驚いていたのを思い出す。



…本当に表情がころころ変わって面白い奴だ。



鬼舞辻「鬼になると陽に当たる事は出来ないし…藤の花は苦手になる。

だが、老いることはなくなる…陽に当たることさえなければ死ぬことはない。」



…近頃は鬼殺隊とやらが設立された、と言った話は聞いたが…まあ殆ど関係はないだろう。



そんな奴ら…私の手にかかれば…



春姫「…鬼は人を食べなければいけないと聞きました。」



鬼舞辻「…主食が人間だからな。」



春姫「私は…人として生きて、人として死にたいです。」



…そうしたら、私はいずれ置いて行かれるというのに。



鬼舞辻「…そうか。気が変わったら言え。」



春姫「分かりました。」



ふわり、も笑う春姫の頬を撫でる。



…私はお前を、失いたくないのに。

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