階級・甲の癸さん拾陸

722話　鬼舞辻side ページ28

春姫「…やだ、無惨さん、」



鬼舞辻「私がいつ迷惑と言った？」



そう聞くと、何も言わずに黙り込む。



鬼舞辻「…私が女と会って帰った日、いつも悩んでいたということか？」



春姫「そんなにハッキリ言わないでください…！」



…ああ、心が高揚する。



鬼舞辻「嫉妬していたのか、ずっと。」



春姫「〜〜〜…も、無惨さん、やだ…」



…考えないようにしていた。



春姫は人間で…私は鬼だから。



でも、



鬼舞辻「残念だが、私はお前を手放す気は毛頭ない。」



春姫「お、親心なのか兄心なのかは分かりませんが、私は」



鬼舞辻「私はずっと、お前を娘とも妹とも思ったことなどないが？」



気付かないふりをしていただけで、本当は何処かで気付いていた。



…出会った時からずっと、そうなることを予想していたようにさえ思える。



鬼舞辻「…お前はずっと私だけの春姫であってくれれば良い。」



春姫「…？？」



何を言っているのか分かっていない様子の春姫の顔を私の方へ向けさせ…静かに告げる。



鬼舞辻「…愛してる、春姫。」



それだけ言って口付ける。



すると春姫は驚いた顔をした後…涙を流した。



鬼舞辻「…嫌だったか？」



春姫が泣いているのを見るのは、これが初めてだ。



思わず戸惑いながら問い掛けると、首を振りながら…涙を拭い、微笑む。



春姫「…嬉しすぎて、勝手に出てきて、」



…ああ、愛しい。



春姫「…私も、愛してます。」



そう言った春姫に…もう一度、口付けた。

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