雨柱の癸さん肆

163話 ページ26

胡蝶「…A、今まで嫉妬とかしたことなかったんですか？」



『え？あったよ？』



みおが僕意外と仲良かったら妬いたし、その度一緒に遊びに行ったし…そう言うのが重くて嫌だったのかな。



胡蝶「本気で、取られてしまうかも…と思ったこととか、人ばかり…って思ったこと、ですよ」



『…嗚呼、ない…かもしれないね…』



うん…ないかもしれない。



自分に自信があったわけじゃない…みんな、離れないでいようとしてくれた。



離れた時は、大抵…僕を心から嫌った時か、死んだ時…その何方かだった気がする。



胡蝶「…決して、おかしな感情ではありませんよ」



『…そうですかね』



そうだと良いな。



でもきっと、僕は人よりずっと…嫉妬深いのだと思う。



胡蝶「…Aさんは叶さんじゃないと…ダメ、なんですか？」



急に問い掛けられたその言葉に、思わず首を傾げる。



『何が？』



胡蝶「私も、ずっと嫉妬していました。

Aさんがいつも叶さんのことばかり大切にしているのを見ていて…私じゃダメなのでしょうか、って…思っていました」



『…え、』



胡蝶「私は踏み込めない所に踏み込めて…家族に、なれて。

…羨ましかった…それが恨めしいに変わって行って…良い態度を取れなくて。

…叶さんが鬼だから。そう…思い込んで、決め付けてました」



…聞いたことがなかった。



しのぶさんの、そんな感情。



胡蝶「私では…Aさんの大切な、かけがけのない家族には…なれませんか？」



真剣に、それでいて少し寂しそうに…悲しそうに。



僕のことを見つめるしのぶさんを…ぎゅっと抱き締めた。

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