階級・甲の癸さん拾弐

554話 ページ47

『那田蜘蛛山で、僕は死にかけました…死ぬような毒を身体に入れられて。

それで…その時の相手の蜘蛛鬼に殺されそうになった時、僕を助けてくれたのは鬼舞辻でした。

その前に会った時も、鬼にならないかと言われていたのに…鬼舞辻は僕を無理矢理鬼にしたりはしませんでした。

それどころか蜘蛛鬼を殺した後、僕の身体に入れられた毒を抜いて…それで、去って行ったんです。

…何故助けたか聞いた時、鬼舞辻は…とても悲しそうな顔をしながら僕を見たんです。

だから、何かある…そう思って…』



…これを話すのは初めてだ。



不死川「だから何だァ…それが理由になりはしねェだろォ。

人間を鬼にして、傷付けていることに代わりはねェんだ。」



『僕は彼の過去に何があるか…それに興味があります。

それで…もしも救えるのなら、僕は彼を救いたい。

彼が僕を救ってくれたように…僕はどうにか、彼のことも救いたいのです。』



鬼舞辻を救うという考え方はきっと普通では有り得ない。



でも…どうにかしてでも…



胡蝶「…癸さんがそう言うのなら、私は賛成です。」



『…お姉さん、』



胡蝶「鬼も元は人…もしももう人を喰わないというのなら、共存するこもも不可能ではないと思います。」



…姉を殺されているあなたが、そんなことを言ってくれるとは思いもしなかった、



胡蝶「私は鬼が憎いです…でも、それ以上に。」



其処まで言うと、僕のことを見てくる。



胡蝶「…Aさんのことを信用していて、大切に思っているので。」



…何それ、嬉しすぎるじゃん。

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