階級・甲の癸さん拾壱

481話　過去 ページ23

『…ここは？』



桜花「ここはね、学校とか家に居場所が無い人の来る学校…みたいな所。

私はこの場所を「空の学校」って呼んでるよ。」



『…空の学校…？』



桜花「そうそう！壁に空の絵が描かれてるから！」



…なるほど…そういうことか。



そう思いながらも、彼女に手を引かれながら僕は付いていった。



桜花「あの子は親から見捨てられて行く場所ないから此処に居る。

あの子は虐待、でもそれを人に言うことが出来ないから居る。

まあ此処に居る人達は、世間に出すこと無く静かに生活したかったりするの。」



『…叶さんも…？』



桜花「私は育児放棄って奴？知らんけど。」



…何でそんなに大変な目に遭っていて、そんなに笑えるの？



桜花「あ、居た居た！帆！」



声を掛けられた綺麗な黒髪の男の子は、静かに此方を向いた。



可愛いような綺麗なような、そんな顔をしたその子は、そのまま近付くと…



帆「お前一々うるせぇ。」



そう言って叶さんの頭を叩いた。



『…えっ、』



桜花「とてもじゃないけど妹にする仕打ちだとは思わない。」



帆「うるせぇよ。…あれ、初めまして？」



『あ…初めまして…』



帆「王狼帆(おうろうせいる)です。」



『み、癸Aです…。』



…名字違うんだ、妹って言ってたのに…。



桜花「あのね、此処に居る人達はみんな血の繋がりはないけど…みんな家族なんだよ。」



『…家族…？』



桜花「そう！」



そう言いながら、叶さんは…優しく笑った。



桜花「ようこそ、私達の新しい家族！」



…僕が“家族”と出会った瞬間だった。

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