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「浮所くんって優しいよね」
「そうですか？」
「うん。すっごく優しい」
あの一緒に遅刻した時も、フルーツサンドの時も、彼はいつもいつも優しかった。
すごくすごく優しい人。
それはもうあの3人に爪の垢を煎じて飲ませたいくらいだ。
「…あ、でもその気もないのに優しくしちゃダメだよ？勘違いしちゃうから」
浮所くんの優しさは、男の子に優しくしてもらうことに慣れてない人からしたら、もしかして私は特別？なんて勘違いしてしまうほど。
現に私も彼は誰にでも優しい人だって分かっているのに何度も勘違いしそうになった。
「勘違いじゃないです…って言ったらどうしますか？」
「え……？」
まっすぐに私を見つめる浮所くんと視線が交わる。
「冗談です」なんて言葉や笑い声はいつまで経っても聞こえてこない。
彼は初めて見るような真面目な顔で、ただ私を見つめた。
「優しいのはみんなにじゃないです。先輩にだけです」
「え…？」
「A先輩が好きだから、先輩には特別優しくしたいんです」
好き…？
浮所くんが。私を好き…？
初めて言われた2文字に、慣れない2文字に、心臓が駆け足で動く。
絡まる視線を逸らすことなんてできないまま、私は彼を見つめた。
それしかできなかった。真っ白になった頭ではそうすることしかできなかった。
すぅ、と浮所くんが息を吸って、吐き出された息は「好きです」という言葉に変わる。
「俺、A先輩が好きです。初めて会った時からずっとずっと好きです。会う度にもっと先輩が好きになりました」
彼の言葉も、瞳も、まっすぐで…
冗談とか思う隙もないほどに、まっすぐ、ただまっすぐに心に届く。
「だから、……俺の彼女になってくれませんか？」
「あの…えっと…っ、」
予想もしていなかった言葉に返す言葉が見つからなくて、「あ…」とか「え…」とか言葉にならない声だけが零れた。
「返事は今すぐじゃなくていいです。待ってますから。……だからちゃんと考えてください。俺のこと後輩じゃなくて男として見てください」
キリッとした真面目な顔はいつの間にか、ふっと目を細めたいつものような柔らかな微笑みに変わる。
「じゃあ俺、部活戻りますね！」
そう言った彼はいつもの笑顔でひらひらと手を振ってから、外へ駆け出して行った。
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の - 凄く感動しました。作ちゃんがもう作ちゃんで場面が想像できました。瑞稀くんが結婚するって言った時は泣いてしまいました。片想いって本当にしんどいです。作ちゃん最後は報われてよかったです。久しぶりにこんな胸が痛くなりました。 (2021年8月31日 23時) (
レス) id: 2c22fbd9c9 (このIDを非表示/違反報告)
asumin110(プロフ) - これの作間くんがあったら是非読みたいです！！！ (2021年3月6日 8時) (レス) id: 310d1e6e98 (このIDを非表示/違反報告)
ちぇりー - 今更感想すみません。最後めちゃめちゃ泣いたし井上担なのにすごく幸せな気持ちになりました……読んでよかったです！！ (2019年12月4日 1時) (レス) id: 533c7622c3 (このIDを非表示/違反報告)
じ ゅ き * - 呼んでて涙出てきちゃいました!! これからも作品楽しみにしてますっ (2019年10月24日 19時) (レス) id: 3ad5a89366 (このIDを非表示/違反報告)
ニャニャコ - めちゃくちゃ良かった！ (2019年8月24日 15時) (レス) id: 6881cb58fa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：りゅりゅ
| 作者ホームページ：https://twitter.com/ryuryu_movie?s=09
作成日時：2018年11月19日 11時
