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*42【過去が今を作る】 ページ45

お母さんは、体が弱かった。



入退院を繰り返していたけれど、私が小学二年生になる頃には、仮退院すら出来なくなっていて。



『いつも絵本しか読んであげられなくてごめんね』



『我慢ばっかりさせてごめんね』



そう言って、いつも謝っていたのを覚えている。



『あかり、お母さんのこと大好きだよ!優しくて、絵本読んでくれて、あかりのお話聞いてくれるもん!
お母さんの病気が良くなったら、たくさん遊ぼうね!』



そう言うと、お母さんは微笑んで、折れてしまいそうなほどに細く、白い柔らかな手で私の頭を撫でてくれた。



そんなお母さんが大好きだった。



『だめ…行かないで!置いていかないで!あかり一人になっちゃう』



『大丈夫。あかり、貴方は強い子。皆を照らす明るい子なのよ。どんな時も、明るさを忘れないでね…お母さんとの約束』



『約、束…』



小学四年生の冬、お母さんは眠るように息を引き取った。



『生まれてきてくれてありがとう』という言葉を残して。



それから私は、明るく振る舞った。どんなに辛くて、悲しくても。
それがお母さんとの約束だったから。



けれどお父さんから見たら、それは怒り以外の何物でもなかったらしい。



『あかり…何が楽しい。何がおかしい!咲が死んでそんなに嬉しいのか?!』



『ち、違う…お母さんとの約束だから、』



『約束がなんだ!俺は生活費を稼ぐために仕事続きで、咲の見舞いにもあまり行ってやれなかったんだぞ!!』



お父さんはお母さんが亡くなってから、お酒に溺れた。



毎日罵声を浴びた。
 


お父さんの表情も、言葉遣いも、何もかも変わってしまった。



中でも一番頭に残って離れない言葉。



『咲は、お前が生まれたせいで病気になったんだ!体は弱くても、普通に過ごせてたのに…っ!
お前が生まれなければ!!咲は生きてたんだよ!!』



バリンッッ!



それを言われた瞬間、心の中でナニカが壊れた。



お父さんは家を出たまま、戻ってこなくなった。



その後私は孤児院に引き取られたが、笑顔が作れなくなった。



感情が表に出せなくなった。



養子にもらわれてからも、今までも。

*43【愛されていた証拠】→←*41【幻聴なのか、それとも】



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設定タグ:オリジナル , 死神 , 名前変更なし   
作品ジャンル:ファンタジー, オリジナル作品
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ぺぽん(プロフ) - 翠さん» ありがとうございます。そう言っていただけてとても嬉しいです☺️ (8月25日 1時) (レス) id: 83a944f022 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - イベント参加ありがとうございますっ!すごく面白く、サクサクよめてしまいました。フォローと評価失礼します。 (8月25日 0時) (レス) @page1 id: 61ad33c328 (このIDを非表示/違反報告)
ぺぽん(プロフ) - のあさん» ありがとうございます!もっと面白い作品が作れるように努力したいと思います💪 (6月18日 12時) (レス) id: 83a944f022 (このIDを非表示/違反報告)
のあ - ぺぽんさん» イベント参加、改めてありがとうございます。評価・コメントをさせていただきました。作品に出てくる、登場人物はみんな素敵でとても面白かったです。あと26票で殿堂入り…!!頑張ってください! (6月18日 12時) (レス) id: ed5fd984f6 (このIDを非表示/違反報告)
ぺぽん(プロフ) - のあさん» 読んでもらえるだけでもありがたいです!少しでも面白いと思ってもらえたら幸いです。 (6月18日 11時) (レス) id: 83a944f022 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ぺぽん | 作成日時:2021年4月30日 15時

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