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「A…。」
竜胆さんの声に私は弾かれた様に走った。
大好きでたまらない竜胆さんが、今は怖くてたまらなかった。
そのまま家に入って鍵を閉める。
家のインターホンが鳴って居たが、しばらくすると止んだ。
『もう分かんないよ…。』
玄関でそのまま崩れる様に座り込むと、震えるスマホに気付いた。
竜胆さんから数件の不在着信と、トークアプリの通知だ。
【話せるまで帰らないから】
トークアプリを閉じると、私は意を決して彼に電話をかける。
〈A…！？さっきはわりぃ、痛くするつもりなくて…。〉
『昨日、仕事なのに会社近くの繁華街で女の人と歩いてたのはなんで？』
竜胆さんの言葉を遮って続ける。
〈それは、本当に仕事で…。〉
『それってどんな仕事なの…？ゴミ箱に入ってた血だらけのワイシャツは…？』
この後に及んでまだ仕事というのかと苛立ちを覚えた私は、ついワイシャツの事も口走ってしまった。
彼が息を呑んだのが、電話越しでも分かる。
〈見たのか。〉
竜胆さんの声のトーンが下がる。
しばらくの沈黙のあと、竜胆さんは言った。
〈俺は“梵天”の灰谷竜胆だ。〉
喉がヒュッと鳴る。
“梵天”
連日、朝のニュースを騒がせている犯罪組織の名だ。
それはつまり、彼は犯罪者という事を意味していて。
ずっとそれを隠して私と一緒に居たの？
〈隠しててごめん、どうしても…言えなかった。〉
スマホを持つ手が震える。
どうしてそんな事隠していたの。
確かに最初から知っていたら距離を取っていたかもしれない。
でも、優しくしてくれて愛してくれたのも事実で。
『別れて、ください。』
ぐちゃぐちゃに混乱する頭で、出てきた言葉はそれだった。
〈……分かった。〉
受話器越しに流れる電子音を聞きながら、私は声を上げて泣いた。
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名無し(プロフ) - 葉月さん» 葉月さんコメントありがとうございます！なんと嬉しいお言葉😭私も灰谷兄弟が好きで、次の新作は蘭ちゃんで書こうかなと思ってます…！最後までお付き合いいただき、ありがとうございました🙇♀️ (2021年10月21日 11時) (
レス) id: c598b64059 (このIDを非表示/違反報告)
名無し(プロフ) - まよさん» まよさんコメントありがとうございます！最後までお付き合いいただきありがとうございました！続編は検討中ですが、この先のお話も書きたいものがありまして、番外編を書こうかと思っております🙇♀️ (2021年10月21日 11時) (レス) id: c598b64059 (このIDを非表示/違反報告)
名無し(プロフ) - 鮭るすさん» 鮭るすさんコメントありがとうございます！作者も竜胆さんと別れる時は泣きながら書きましたw自分の作品で泣いてくださる方が居るというとは幸せです😭最後までお付き合いいただきありがとうございました！新作ができたらまたぜひ🙇♀️ (2021年10月21日 10時) (レス) id: c598b64059 (このIDを非表示/違反報告)
名無し(プロフ) - I’m海月さん» I’m海月さんコメントありがとうございます！涙して下さったんですね…作者として本当に嬉しいです😭お気遣いありがとうございます！最後までお付き合いいただきありがとうございました🙇♀️ (2021年10月21日 10時) (レス) id: c598b64059 (このIDを非表示/違反報告)
名無し(プロフ) - ATR214YSさん» ATR214YSさんコメントありがとうございます！無事完結いたしました！最高だなんて嬉しいです😭最後までお付き合い頂き、本当にありがとうございました！🙇♀️ (2021年10月21日 10時) (レス) id: c598b64059 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：名無し | 作成日時：2021年10月13日 12時
