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18、あの子の話 ページ19

「Aさん、とっても素敵でしたわ」




「私もそう思う」




仕事が一段落して休憩中の社員達は、デスク越しに雑談をしていた。
話題は自然と、昨日此処(探偵社)を訪れた国木田の妹になる。




「国木田さんに似て、凄く丁寧で優しい人でした」




言いながら、敦は喫茶処での彼女を思い出す。
人形のように綺麗な顔立ち、鈴の音を響かせたような声。
思わず顔に熱が集まる。




「敦さん、顔が真っ赤ですわ!もしかして…Aさんのこと好きになったんですの?」




「敦にもようやく春が来たかィ?」




ナオミと与謝野は意地悪な笑みを敦に向ける。




「敦…その人のこと好きなの?」




鏡花も聞く。
表情にこそ出ないが、内心は焦っていそうだ。




「えっ!ち、違うよ鏡花ちゃん!!ただ綺麗な人だったなぁと……思っただけで」




最後の方、声が小さくなったことをいいことに、またイジられる敦。
その隣では太宰と国木田が話していた。




「くにき〜だくぅ〜ん」




太宰が国木田の肩を揉む。




「なんだか仕事に集中出来ていないようだけれど。何かあったのかい?」




瞬間、国木田はキッと目を尖らせた。




「お前がっ!何度も何度も!話しかけるっ!からだ!!」




太宰の肩を掴みグワングワン揺する。
首がポキっと鳴ったが、当の本人は幸せそうな顔をするだけだった。




「でも、いつもの国木田君なら、どこ吹く風とでもいうように仕事を続けるじゃあないか」




言いながら、国木田が作成した書類のある部分を指差す。




「それにここ、ミスしてる」




「なんだとっ?!」




国木田は書類を食い入るように見つめ、漢字ミスに気づくと絶句した。
谷崎も頷く。




「確かに国木田さん、落ち着きがないです」




その時、女社員の間で"兄弟"の話をしていたナオミが、谷崎をうるうるとした瞳で見つめた。




「私、兄様と四年も会えなかったら……」




ナオミの目が涙でいっぱいになる。




「ちょ、ナオミー?」




「私もう耐えられませんわ!!」




谷崎はナオミに抱きつかれた衝撃で後ろに倒れた。

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設定タグ:文豪ストレイドッグス , 国木田独歩 , 夢小説   
作品ジャンル:アニメ
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ゆいたろー!(プロフ) - ぺぽんさん» わー!有難う御座います!この作品また見たいと思ってたので嬉しいですッ!! (1月24日 21時) (レス) id: 09168e2c17 (このIDを非表示/違反報告)
ぺぽん(プロフ) - お相手の作品が削除されたことを確認しましたので、再び公開しようと思います。これからもこの作品をよろしくお願い致します。 (1月15日 17時) (レス) id: a5e819fb1a (このIDを非表示/違反報告)
ぺぽん(プロフ) - ゆいたろー!さん» ゆいたろー!さん、申し訳ありません。悩んだ末、二章以降を非公開にすることを決めました。こちらを読んでくださる人もいることは重々承知していますが、このまま盗作され続けるのは嫌でした。 (1月10日 18時) (レス) id: a5e819fb1a (このIDを非表示/違反報告)
ぺぽん(プロフ) - ゆいたろー!さん» 完結した後でも作品を読んでくれている方がいるのは、とても嬉しいです。作品を書き続ける活力になります。これからもこの作品をお楽しみください。他にも作品を投稿しているので、お時間があればそちらもぜひ。 (1月10日 17時) (レス) id: a5e819fb1a (このIDを非表示/違反報告)
ゆいたろー!(プロフ) - いえいえ、お役に立てて光栄です。これからもこの小説楽しませていただきます (1月10日 17時) (レス) id: 09168e2c17 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ぺぽん | 作成日時:2022年5月7日 15時

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