14、解体とは? ページ15
早朝に起きた誘拐騒動からしばらく。
国木田と太宰は漸く社の扉を開けた。
「全く、この唐変木のせいで一時間も遅刻だ!」
「そんなに生き急がなくてもいいじゃない。それに、今朝のは国木田くんが勝手に勘違いしたんじゃないか。ね、Aちゃん?」
イライラしている国木田と、それを面白がる太宰。
二人だけを見ればいつもと変わらない光景なのだが。
そこにはもう一つの人影があった。
「え!Aさん、何故探偵社に?」
「もう帰ったンじゃ…」
国木田の隣にはAが立っていた。
これには、昨日喫茶処で話した敦と谷崎も驚いてAを見つめる。
「えっと、実は色々あったんです…」
「それが原因で遅れたんだがな」
困ったように笑うA。
ジロリ、と国木田が太宰を睨む。
「おやァ、太宰、この子に何かしたのかい」
真っ白い白衣と蝶の髪飾りが特徴的な女性が、太宰を面白そうに見やった。
昨日は居なかったが、この人も社員だろうか。
「何もしていませんよ、与謝野先生。野宿していた国木田くんの妹を部屋に運んで泊めただけです」
「太宰さん、それ涼しい顔して言っちゃ駄目なやつですよ」
敦が引き気味で突っ込む。
「国木田、アンタ妹が居たのかい」
「まぁ…はい」
白衣の女性に問われ、少し気まずそうに答える国木田。
「国木田独歩の妹の、国木田Aです」
「ヘェ、随分と美人じゃないか。妾は与謝野晶子。具合悪くなったり怪我したらすぐ言いな?何時でも解体してあげるから」
与謝野は意味ありげに笑う。
「解、体?ですか」
「与謝野先生それ以上は!!」
何のことかいまいち理解出来ていないAに、谷崎は蒼白い顔で与謝野の言葉を制した。
「それで…お前はいつ帰るのだ?」
「え?」
突然、眼鏡を押し上げて国木田が聞く。
「うーん。お兄ちゃんの元気な姿見れたし、もう帰ってもいいんだけど…せっかく横浜に来たから少し観光して帰ろうかなぁなんて」
「そうか」
「…うん」
探偵社に少し、ほんの少しだけ気まずい雰囲気が漂った気がした。
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ゆいたろー!(プロフ) - ぺぽんさん» わー!有難う御座います!この作品また見たいと思ってたので嬉しいですッ!! (1月24日 21時) (レス) id: 09168e2c17 (このIDを非表示/違反報告)
ぺぽん(プロフ) - お相手の作品が削除されたことを確認しましたので、再び公開しようと思います。これからもこの作品をよろしくお願い致します。 (1月15日 17時) (レス) id: a5e819fb1a (このIDを非表示/違反報告)
ぺぽん(プロフ) - ゆいたろー!さん» ゆいたろー!さん、申し訳ありません。悩んだ末、二章以降を非公開にすることを決めました。こちらを読んでくださる人もいることは重々承知していますが、このまま盗作され続けるのは嫌でした。 (1月10日 18時) (レス) id: a5e819fb1a (このIDを非表示/違反報告)
ぺぽん(プロフ) - ゆいたろー!さん» 完結した後でも作品を読んでくれている方がいるのは、とても嬉しいです。作品を書き続ける活力になります。これからもこの作品をお楽しみください。他にも作品を投稿しているので、お時間があればそちらもぜひ。 (1月10日 17時) (レス) id: a5e819fb1a (このIDを非表示/違反報告)
ゆいたろー!(プロフ) - いえいえ、お役に立てて光栄です。これからもこの小説楽しませていただきます (1月10日 17時) (レス) id: 09168e2c17 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぺぽん | 作成日時:2022年5月7日 15時