０８ ページ9
.Shima___side
静かになった教室。
背もたれに体重をかけ、正面に座るセンラくん見た。
飲み物買ってこいってうらたさんに言ったのは嘘。
目で訴えといたけど、伝わってなくても知らない。
というか、今から買いに行ったらこっち帰ってくる間もなく、5限始まるし、間に合わないし。
適当にふらふらしててっていう意味で。
あの人頭いいし、なんだかんだ俺らのことよく心配してるしわかってくれてると思う。
んで、目の前で明らかにホッとした表情を見せるこいつは、わりと繊細で壊れやすかったりする。
そっと、こいつがわからないくらい、自然に。勇気を与えてあげないと、すぐに落ち込む。
普段からため息は多い奴だけどAちゃんがきた瞬間から、明らかにため息が多くなってる。
見てないようで、見てるから。
何年もの付き合いだし。そんくらいわかる。
っていう俺も相当なお人好し。
他人のことに一生懸命な俺、笑える。
そんなことを考えてると、センラくんが口を開いた。
「A、逃げてきたって、言うてた。それだけ言った。」
明らかに元気のない声でそう言うと、またため息をつく
お前は1日何回ため息つけばいいの？
呆れながら、続きそうな言葉を待って。
「母親か、それかまた別の奴かはわかんないんやけど、寂しそうな目、してた。
それ見て心臓がきゅうってして、追いかけられんかった。」
俯いてて表情は見えないけど、
明らかな涙声に、泣き虫。と心の中で煽ってみたり。
身長は俺よりでかいのに、なんだか小さく見える。
弱虫な親友を持つと大変だ。
無意識に伸びた手でぐしゃっとワックスで整えられた、奴の頭を雑に撫でる。
「子供じゃないんやから、やめて、それ。」
「つい癖でｗｗ」
「女癖わる。きもい。」
不機嫌そうに俺の手を払いのけたセンラは、ふいっと、窓の方に視線をやると、目を細める。
「本当、無力。あん時も、今も。なにをしたら、正解なのかよくわからん」
苦しそうな、悲しそうな表情をして、拳を握るセンラに今度は、頭を叩いた。
「やる前から落ち込んでどうするん？
正解とかない、とりあえずちゃんとぶつからんと。二の足踏むな。転んだらちゃんと、助けたる。」
そういい終わった直後、ちょうどよくチャイムが鳴って俺は、立ち上がる。
俯いたままのセンラは、動こうとしない。
ゴミがまとめられた袋を持って、センラがいる空き教室に背中を向けて早足で教室に向かった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 141人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
高瀬その(プロフ) - コメント失礼します。今日この小説を読んだのですが二人の気持ちとか凄く伝わってきて泣けるけど本当凄くいい話だなあと思いました…！これからも応援しています、頑張って下さい！ (2017年12月29日 9時) (
レス) id: 68845d469f (このIDを非表示/違反報告)
あまみや。(プロフ) - ルイルリ@雨傘さん» コメントありがとうございます！そう言っていただけて嬉しいです…！！読んでいてちょっぴり胸が苦しくなるようなそんな作品を書きたかったので、本当に嬉しいです。頑張ります！ありがとうございました！ (2017年8月6日 3時) (レス) id: c73d1202f1 (このIDを非表示/違反報告)
ルイルリ@雨傘 - コメント失礼します！！すごくいい話ですね！！泣ける…こんな話を書いてみたい…更新頑張ってください！！応援してます！！ (2017年7月25日 12時) (レス) id: 27bfa0ba5b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：あまみや。 | 作成日時：2017年1月10日 17時
