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なにもない真っ白な世界、





顔が見えない少女が現れて、
涙声で言ったんだ。








「私は、人形じゃない。」

「あの人に会いたい。」

「助けて」








訳もなく、あふれる涙は止まり方を知らない。



手を伸ばしても、届かない。

声をかけたいのに、上手く声が出ない。





あの日みたいに、俺は、泣くしかなかった。






自分の胸ぐらを掴んで、ただただ、泣くしか。









その少女が消える直前、目が合ったような気がして。







それは、海のように綺麗な、セルリアンブルーの瞳だった。









「___……っ!!!!!」






ーーーーー








ハッと目を覚ませば、部屋は暗くて、冷たい。




ズキンと痛んだ頭は、
昼間より良くなっている気もして。






頰に生温い感覚がして、拭うと水滴が手の甲についた。


泣いてた?






それに、あの夢




記憶が曖昧だ。
どんな夢だった?





白い世界に、誰か………







「なんやったっけ……」







誰かの名前を、叫んだような気がした。





なんか、重要なことだった気がするんだけどな。
思い出せない。






いつか思い出すか。






考えても思い出せない、夢の記憶を放置して、
手探りでスマホを探す。

いつまでも見つけられずに、上半身を起こすと、びっくりして壁に頭をぶつける。





「………なんで…?」






俺のベットを枕にして、すやすやと心地よさそうに眠るAがいて。
訳が分からず、混乱してると、寝る前のことを思い出す。





あ、見舞い、





すぐ寝たから帰ると思ってた、てか今何時?





枕の下に潜り込んだスマホを発見して、画面をつけると眩しすぎる明るさに目をつぶる。
慣れてきたところで、もう一度画面を見ると2時半過ぎ。



夜中、?




夜中の2時?





帰らなかったの?
どうして……




Aを見つめながら、出してしまいそうな手を押さえつけた。








いてくれたことが嬉しい反面、なんで帰らなかったのか謎で、混乱する。



しかも、こんな無防備に、寝て。







思わず、髪の毛に手を伸ばす。
さらさらで、Aの匂いがする、ダークブラウンの髪にキスを落として。





「…最低や、ほんまに…」





寝てるときに、こんなことをして。
急に罪悪感に襲われて、パッと手を離すと、ため息をついた。

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高瀬その(プロフ) - コメント失礼します。今日この小説を読んだのですが二人の気持ちとか凄く伝わってきて泣けるけど本当凄くいい話だなあと思いました…!これからも応援しています、頑張って下さい! (2017年12月29日 9時) (レス) id: 68845d469f (このIDを非表示/違反報告)
あまみや。(プロフ) - ルイルリ@雨傘さん» コメントありがとうございます!そう言っていただけて嬉しいです…!!読んでいてちょっぴり胸が苦しくなるようなそんな作品を書きたかったので、本当に嬉しいです。頑張ります!ありがとうございました! (2017年8月6日 3時) (レス) id: c73d1202f1 (このIDを非表示/違反報告)
ルイルリ@雨傘 - コメント失礼します!!すごくいい話ですね!!泣ける…こんな話を書いてみたい…更新頑張ってください!!応援してます!! (2017年7月25日 12時) (レス) id: 27bfa0ba5b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:あまみや。 | 作成日時:2017年1月10日 17時

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