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普通に繋いでいた手は、歩いているうちに俗に言う恋人繋ぎ、とやらになっていて。




Aの細い指が自分の指に絡んで、熱を上げていく。




おかしいな
手を繋ぐことくらい、普通にしてたのに。




ちいさくて柔らかかったAの手は
いつの間にかすらりと細く、女性らしい手になっていて、違和感を覚える。



俺だって、今まで恋人がいなかったわけじゃないし、手なんか、いろんな人と繋いだ。



でも、なんか違う。



心の奥がポカポカするような、そんな。





君の頬が赤いのは夕日に照らされてるから?
……それとも?




握る手を少し強めると、不思議そうに瞳を揺らしてこちらを見るA。



かわいい




「なんか……懐かしいなぁ。」





夕日に照らされる道を二人で並んで歩くのは、何年ぶりだろう。






昔もこんな帰り道、あったね







って、笑いながら言うと「そうだね、」って相槌を打って、微笑む君。





どくんっ、と波打つ鼓動は、胸の奥に響いて、少し痛い。





ああ……全て、




君の全てが、すき。








ずるいよ、ほんと。









「…………え、?」









驚く声は、自分の耳元で聞こえる。





繋いでいた手をグッと引っ張って、Aを自分の腕の中に入れると、小さくて細い体を、抱きしめた。




無意識なんかじゃなくて、

ただ、君を、



君を抱きしめたいって、そう思っただけ。







「………嫌なら、突き飛ばしてええよ」




「離す気なんか、ないくせに。」




「…うん、ごめん」







離れてしまわないように、
どこかへ行ってしまわないように、
強く、強く抱きしめて。




控えめに、背中へと腕が回されて、安心する自分。




拒まれたら、どうしようかと思った。




ふわふわと香るラベンダーの香りに、頬を緩めるとAの肩に額を乗せた。

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高瀬その(プロフ) - コメント失礼します。今日この小説を読んだのですが二人の気持ちとか凄く伝わってきて泣けるけど本当凄くいい話だなあと思いました…!これからも応援しています、頑張って下さい! (2017年12月29日 9時) (レス) id: 68845d469f (このIDを非表示/違反報告)
あまみや。(プロフ) - ルイルリ@雨傘さん» コメントありがとうございます!そう言っていただけて嬉しいです…!!読んでいてちょっぴり胸が苦しくなるようなそんな作品を書きたかったので、本当に嬉しいです。頑張ります!ありがとうございました! (2017年8月6日 3時) (レス) id: c73d1202f1 (このIDを非表示/違反報告)
ルイルリ@雨傘 - コメント失礼します!!すごくいい話ですね!!泣ける…こんな話を書いてみたい…更新頑張ってください!!応援してます!! (2017年7月25日 12時) (レス) id: 27bfa0ba5b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:あまみや。 | 作成日時:2017年1月10日 17時

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