深澤センパイの思惑通り。［紫］ (ページ46)

今日:1 hit、昨日:5 hit、合計:541,486 hit

▽ ページ46

▽あなたside

こんなにも近い距離に居たことはあったのだろうか。

私が放った言葉にあまり動揺することも無く返答された言葉は、

深澤さんらしくて、やっぱり私はどうとも思われていないのかな、なんて思ってしまう。

深「あんねえ、そういうことは簡単に言っちゃダメなの。男って単純だから。ね？」

なら、深澤さんだって少しは私の事、どうにかしようって思ったことないんですか、

聞こうと思えば聞けた。

だけど、少し揺れた瞳が頭を離れなくて、なんだかこれ以上近寄ってはいけない気がしてしまった。

というか、近寄らないで、とか、聞かないで。

そう言われてる気がしてしまったんだ。

···· やっぱ、私は深澤さんを好きになんてなりたくなかった。

深澤さんは、私の隙をみるとすぐ入って入り浸って離さないくせに、深澤さんは少しも私に隙を見せてくれない。

そう思うと、なんだか妙に泣けてきてしまった。

深「Aちゃん、まだ治ってないから寝てよ。会社には俺から言っとくから。」

『っ、··· すいませ、』

泣きたいんじゃない、困らせたいわけじゃない。

なのに、なんで涙は止まってくれないの。私に気持ちがあるはずがない、そんなの分かっていたはずなのに。

深「じゃあ、また来るから。寝ててね。行ってきます。」

深澤さんは、少し悲しそうな、苦しそうな顔をして私を寝かせて会社へ向かった。