深澤センパイの思惑通り。［紫］ (ページ22)

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▽あなたside

仕事に夢中になってたらあっという間に21時過ぎ。

さすがにやばい。

休憩しよう、そう思って立ち上がると深澤さんが登場。

『え、深澤さん？』

深「あ、まだ居たの？お疲れー」

『深澤さんこそ···』

深「明日プレゼンの資料終わってなくてさー。わら」

「なんか納得いくの作れなくてねー」なんてコーヒーメーカーを動かしながらつぶやく。

深「そういうAちゃんは？こんな遅い時間まで残ってんの珍しいじゃん。」

『いつもならしないようなミスばっかりしちゃって、』

深「あーだから珍しく遅い時間に阿部ちゃん見かけたのか～」

そう言われて、尚更自分の使えなさに落胆する。

なんで今日に限ってこんなしょうもないミスしちゃうかなぁ ··· 。

いつもの自分ならきっと流せたんだろうけど、何故か気持ちは落ちていくばかりで、目の前が霞んで鼻の奥がツンとしてくる。

深澤さん居るのに、泣いちゃ迷惑かけちゃう、我慢しなきゃ。

深「Aちゃんさ、いっつも頑張ってんじゃん。無理しなくて良いんじゃない？」

なんて優しい言葉をかけられて、深澤さんの優しい香りと煙草の香りがいつもよりも濃く感じる。

〈抱き締められてるんだ〉そう分かるまでに時間は掛からなかった。

いつもの私ならきっと引き剥がしてたんだろうけど、今はそんなことなくて、自分が思ったよりもキツかったんだなと、深澤さんの腕の中で思った。

深「出せんなら全部出しな。我慢する必要なんか無いよ、俺しか居ないよ。」

何故か安心してしまって、引っ込んだと思ってた涙が溢れて仕方なくて、完全に深澤さんに寄りかかってしまった。

深澤さんの背中に手を回して、思い切り涙を流した。