陸拾陸.同じこと ページ21
あの日から、義勇は私を少しずつ遠ざけるようになった。
何故か聞いても何も答えてくれない。
私は、大きな任務に行くことが無くなった。
義勇がそういった任務に行く場合は私は別の柱に預けられる。
それ以外は私を傍に置いてはくれている。
けれど、義勇は必ず私に夜でもフードをかぶらせた。
そして
自分の身が危ない時以外闘うなと、
私に剣を抜かせなくなった。
「義勇」
鬼の手足を斬り裂き、その体を踏みつける義勇へ呼びかける。
まだ鬼になったばかりの男はすっかり怯えて叫んでいるけれど、義勇はそれを完全に無視をして私へ手足を差し出した。
「早く喰わないと再生してしまうぞ」
何だか、少し怖いと感じてしまった。
「義勇 足を退けてください」
「足を退ければコイツは逃げる」
「退けてください」
怖気付くことなどしないけれど
でも私が見ていた頃の義勇はすっかり消えてしまった。
錆兎と過ごしていた頃の義勇の面影が全くない。
私から目を逸らすことなく見据える義勇。
足元の鬼は必死で手足の無くなった体で地を這っている。
鬼になったばかり、しかも人をあまり喰っていない鬼だから再生力が遅いのだろう。
義勇はその鬼の体に刀を勢いよく突き立て、足を退けた。
「あ"ぁ"...あぁあ!!!痛ぇ...痛ぇよッ」
涙を流して苦しんでいる。
鬼はこれまで何体も喰っていた。
みんなこんな感じだった。
けれど、
元はみんな人間だったんだ。
鬼を喰うなんて、
人間を喰うのと同じだ。
1294人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
とく(プロフ) - とても面白いです!続き待ってます! (7月20日 19時) (レス) id: 72e740ca3a (このIDを非表示/違反報告)
ゆい - とても感動しました。続きお願いします! (2020年3月21日 22時) (レス) id: 267821d46f (このIDを非表示/違反報告)
ソラン(プロフ) - 続き楽しみにしてます!応援してます!! (2019年9月6日 20時) (レス) id: 9e76d01d1a (このIDを非表示/違反報告)
笑陽(プロフ) - 続きが気になります!! 更新待ってます!!!!!!!!!!!!! (2019年8月11日 1時) (レス) id: f0261dc739 (このIDを非表示/違反報告)
純(仮) - 続き凄い気になります (2019年7月24日 17時) (レス) id: b6bc3c9cb5 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:捺稀 | 作者ホームページ:
作成日時:2019年5月15日 0時