18.泣いても朝は来る ページ18
ただただ泣きわめいていて、
これが現実じゃないことを切実に望んでいて、
でも夢ではなかった。
もう隣には誰もいない。
お線香の苦い匂いが私の鼻をくすぐる。
その度に、君がいないことを思いださせられるんだ。
あぁ、こんなに儚かったんだ。脆かったんだって。
.
.
.
.
「さい!……A!……起きなさい!……」
『………………んぇ?』
「もう8時よ!」
はっきりとした意識がないまま、私は瞼を開く。
上には腰に手を当ててぷんすかと怒っているお母さんがいた。
近くのデジタル時計を見てみると、そこに無機質な数字で映し出されているのは紛れもない「08:00」という文字。
『………………ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!』
「ほら!早く着替えなさいよ!」
『ありがと!やばいやばいやばい!!』
私は制服を用意してくれているお母さんにお礼を言いつつ、素早く着替えて顔を洗い、歯を磨く。
ってもう朝食食べてる時間内じゃん!!!
私は鞄を片手に、トーストを片手に持って、
『い、いってきまぁぁぁぁす!!』
と、叫んで家をあとにした。
走りながらトーストをサクサクと口に含んでいく。バターの風味が口一杯に広がるが、今はそれどころではなかった。
しばらく走ったところで、真冬の後ろ姿を見つける。私はそこをめがけて全力ダッシュ!!
『きょじぃいいいいいいいん!!!』
「朝からそんなあだ名で叫ばないでくれる??お寝坊ゴリラちゃん」
『すまそぴかそ!昨日お風呂でそのまま寝ちゃったんだよ!』
「うわ、アホはどこでも寝るって本当なんだね」
『○ね』
私は引き気味の真冬にウインクを噛まし、☆を出す。
真冬はさらに気持ち悪そうな顔をして、共にあるく私を見つめた。
「…………あ、今日うちのクラスに転校生来るらしいよ」
『も、もしかして!?』
「……ん、天宮くん」
やったあぁぁぁぁぁ!!!
天宮くんだぁぁぁぁぁぁ!!!
そんな喜びの中、真冬が悲しんでるなんてちっとも感じられなかった。
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つむぐ - やのさんの作品、どれも面白かったです!別垢になってもずっと応援してます!お疲れ様でした! (2020年8月11日 18時) (レス) id: 88b02305d1 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきか - 小説の最後の意味教えてほしいです (2019年10月27日 21時) (レス) id: f42ad21887 (このIDを非表示/違反報告)
ヽ(・∀・)やぁ - お久しぶりです。受験勉強で見れてないうちに...。新しい垢見つけたらコメントしますね!ずっとずっとやのさんの作品が大好きです! (2019年7月9日 6時) (レス) id: f277aaf274 (このIDを非表示/違反報告)
ここね(プロフ) - あなたの作品が大好きです!今回の作品も号泣させていただきましたw別アカになろうが必ず見つけ出します! (2019年6月16日 9時) (レス) id: f16806af0a (このIDを非表示/違反報告)
Rmd(プロフ) - 今作も遅くなりましたが、読ませて頂きました。最後のつっかえる感じがとても好きです。また、貴方の書く作品に出会えたら嬉しいなと思います。お疲れ様でした!!!(^^) (2019年5月5日 23時) (レス) id: 4a935f5230 (このIDを非表示/違反報告)
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