16.ひねくれてしまう ページ16
「……もう遅くなってきたし……また今度お礼しますね!あ、荷物はここに置いといてください!」
……………………え?
「……じゃあ、学校であったらたくさん話しましょうね!」
「……ふふっ、はい、そうしましょう」
荷物を持っていない片手で手を振って部屋に入っていく天宮くん。
隣では真冬が手を振り替えして、にこにこ笑っていた。
……が、私の内心は唖然とする。
………………え?家入らないの?いいの?ねぇ??
「………ゴリラちゃん、諦めな」
『くっそがぁぁぁぁぁぁ!!』
私はガックシという気分になり、頭に何かが乗ったような感じになる。
それから私はトボトボとした歩き方で真冬と帰っていた。もう辺りは真っ暗だ。
「……天宮さん、いつ来るんだろうね」
『……さぁ?……それより天宮くんの家にはいれなかったのが残念……』
「不法侵入者、変態」
『うるせぇっ!!』
「……はいはい、」
……でも、真冬がいなかったらこんな夜道、怖かっただろうな。
まぁ、それだけ、それだけは感謝するよ。
私は横目で真冬を見つめる。真冬の横顔はやっぱり綺麗で、でも少し寂しそうな顔をしてた。
……最近、真冬が悲しい顔をするのが増えたと思う。
気のせいかな、もしそのままにしておくと真冬が離れちゃいそうで少し怖い。
「…………何人の顔見つめてんの?」
『……あ、いや、え、っと、……やっぱり巨人は横顔も巨人なんだなって!!』
「は?○ねよ」
『人の命を粗末に扱っちゃ行けません!』
「君だけには言われたくないね」
……どうしてひねくれてしまうのかな。
普通に、素直に、「どうしたの?」って聞けないのが辛いや。
私はそんな寂しさの感情の中、埋まらない真冬との間をそのままにして家へと向かった。
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つむぐ - やのさんの作品、どれも面白かったです!別垢になってもずっと応援してます!お疲れ様でした! (2020年8月11日 18時) (レス) id: 88b02305d1 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきか - 小説の最後の意味教えてほしいです (2019年10月27日 21時) (レス) id: f42ad21887 (このIDを非表示/違反報告)
ヽ(・∀・)やぁ - お久しぶりです。受験勉強で見れてないうちに...。新しい垢見つけたらコメントしますね!ずっとずっとやのさんの作品が大好きです! (2019年7月9日 6時) (レス) id: f277aaf274 (このIDを非表示/違反報告)
ここね(プロフ) - あなたの作品が大好きです!今回の作品も号泣させていただきましたw別アカになろうが必ず見つけ出します! (2019年6月16日 9時) (レス) id: f16806af0a (このIDを非表示/違反報告)
Rmd(プロフ) - 今作も遅くなりましたが、読ませて頂きました。最後のつっかえる感じがとても好きです。また、貴方の書く作品に出会えたら嬉しいなと思います。お疲れ様でした!!!(^^) (2019年5月5日 23時) (レス) id: 4a935f5230 (このIDを非表示/違反報告)
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